2023年1月20日、勝浦市商店街活性化推進協議会、千葉県勝浦市、NEXT DELIVERY、エアロネクスト、セイノーホールディングス(以下、セイノーHD)、KDDIスマートドローン、住友商事は、2023年1月18日に勝浦市において、ドローン配送と陸上輸送を融合した新スマート物流「SkyHub」のサービスを開始したことを発表した。

 地域の商店と連携したオンデマンド配送・買物代行・フードデリバリーといったサービス展開における拠点となるドローンデポを、興津商店街との連携が取りやすい上総興津駅前に設営してサービスを開始する。1月18日から3月20日まで約2カ月間、事業を行う予定だという。

 勝浦市は2021年にSkyHubの構築および社会実装に向けた取り組みを始め、2022年2月のドローン配送サービスの実証実験を経て今回のサービス開始に至った。

物流専用ドローン「AirTruck」と関係者による集合写真(勝浦興津ドローンデポ前)
勝浦興津ドローンデポ(勝浦市観光案内所の一部を使用)

 今回NEXT DELIVERYは、勝浦市商店街活性化推進協議会から「新たな配送サービス構築による商店街等にぎわい創出事業」における商店街等ECモールサイト構築・運営および共同配送業務、商店街等ドローン配送導入業務を受託。関係各社の連携による同事業の実施を通じて、セイノーHDとエアロネクストが推進するドローン配送と陸上輸送を融合した新スマート物流SkyHubの導入および進化と、ドローン他用途を含むサービスモデルの開発を推進することで地域の物流課題解決と勝浦市の活性化に貢献するとしている。

 勝浦市においては、地域の商店と連携したオンデマンド配送・買物代行・フードデリバリーといったサービスを展開しながら、今後、特急配送・オンライン診療/医薬品配送・高齢者配食/見守り・ライフセービング・防災といったサービスへの広がりを検討し、「商店街等のにぎわい創出」「域内の物流効率化・最適化」「地域のカーボンニュートラル推進」をテーマに事業を構築する。

勝浦市における取り組み概要

商店街等のにぎわい創出
 商店街等の仕入れ、配送、出前といった物流業務を同事業で担い、ECサイト構築によりユーザーが商店街等の商品を注文しやすくすることで、商店の人手不足を解消し、各商店の売上増加や商店街等の商圏拡大に寄与する。さらに、観光サービスの促進により域外からの需要を拡大することで、商店街等のにぎわい創出を目指す。

域内の物流効率化・最適化
 物流人材不足、宅配荷物の増加、労働規制強化といった今後の課題に対して、陸上配送を中心とした既存物流にドローン物流をつなぎ込むことで、域内ラストワンマイル配送の効率化・最適化を目指す。具体的には、配送非効率エリアへのドローンによる配送、複数の地域商店や物流事業者の荷物配送(共同配送)を実装していく。また、量子技術を用いた配送システム関連技術等の次世代技術による物流最適化の検証を進めていく。

地域のカーボンニュートラル推進
 電動ドローンやEVバン等を活用することで、地域のカーボンニュートラルを目指す。加えてCO2排出量を削減するため、域内のヒトとモノの移動を合わせた貨客混載も検討する。EVバンについては、カーボンニュートラルを推進する住友三井オートサービス社(以下、SMAS)からリース供給を受け、その中でSMASのテレマティクスサービス「SMAS-Smart Connect」を活用し、運行管理DX化や走行データの分析を通じて、さらなるカーボンニュートラルへ向けた取り組みを検討する。

 今後、勝浦市における課題やニーズに合わせた形でサービスを発展させるとともに、近隣都市を含むより広域なエリアでの事業構築・社会実装、同様の物流・地域課題を抱えるエリアへの事業展開を目指すとしている。

勝浦興津ドローンデポより配送に出発するEVバン

 ドローン配送では、エアロネクストの物流専用ドローン「AirTruck3」を活用する。可搬重量(ペイロード)は5kg、最大飛行距離は20km。2022年9月にエアロネクストと業務提携を発表したKDDIスマートドローンの「スマートドローンツールズ」を組み合わせたドローン配送パッケージ「AirTruck Starter Pack」として使用する。スマートドローンツールズは、ドローンの遠隔制御・長距離飛行を可能にするモバイル通信・運航管理システムを備えている。

 まずは興津・上野エリアからサービスを開始し、徐々に勝浦市全域に展開していく。複数機運航や夜間飛行、レベル4(有人地帯における目視外飛行)といった運航にも取り組むとしている。

商品を運ぶ物流専用ドローン「AirTruck」(勝浦市大沢地区)
ドローン配送された商品を受け取る鈴木恒夫大沢区長
物流専用ドローン「AirTruck」と配送した商品