2022年12月20日、双葉電子工業とクオリティソフトは、災害発生時の広域アナウンスや避難誘導を行う「災害対応アナウンサードローン」を、小山市消防本部が導入したことを発表した。同消防本部は、アナウンサードローンなど2機の災害対応ドローンを配備し、災害発生時の迅速な被災状況の把握、上空からのアナウンスや救急救助資機材の搬送・投下等、人命救助に活用するとしている。

 近年頻発している大規模水害や土石流災害において、災害対応におけるドローンの有効性が確認されている。また、大規模災害に限らず常時発生する災害に対してもドローンの俯瞰的視点からの情報収集は有用であることから、消防庁は消防本部等におけるドローンの導入・活用を推進している。

小山市消防本部の災害対応アナウンサードローン

 災害対応アナウンサードローンは、双葉電子工業が開発・製造した産業用ドローン「FMC-02」に、動画カメラ、物件投下装置、クオリティソフトの「圧電スピーカーユニット」を搭載している。災害発生時に上空から迅速に被災状況を把握すると共に、被災者へ適切な行動指示等を実現する。

 消防庁が求める「災害対応ドローン」機能要件に準拠しており、ドローンの機体および搭載機器は防水性能等級3以上。動画撮影が可能なカメラを搭載し、撮影した動画を現場活動で活用することができる。

 ドローン搭載に最適化した圧電スピーカーユニットは、約500gと軽量、低消費電力(5W)にすることで、ドローンの飛行時間性能への影響を最小化した。磁石を使用せずドローンの電子コンパスに影響を与えない設計となっている。

 プロペラによる風切り音の影響を最小化。音圧減衰が少ない設計により、上空からクリアな音声でアナウンスを伝える(可聴範囲:直線約300m)。

 オプションのAIアナウンス機能は、日本語のテキスト文章から自然なアナウンス音声を生成する。最大29カ国語によるアナウンスが可能。

小山市消防本部 小山市消防署副署長 菅原康一氏のコメント

 当消防本部では、このたび、総務省消防庁のドローン整備促進に合わせ令和4年度予算にてドローンを整備いたしました。

 ドローンは言うまでもなく上空から俯瞰的視点で得た情報を活用することが最大の利点と言えますが、今回導入したドローンには、当消防本部として現場ニーズに合わせ、アナウンス機能と物件搬送・投下機能を付加しました。

 アナウンス機能は、指向性に富み100メートル以上離れた場所でもクリアな音声を伝えることができることから、河川で取り残された要救助者などに声掛けで安心感を与え、救助に必要な行動を促すことができるなど、災害現場において非常に有用であると考えております。

 また、物件搬送・投下機能は、救助用ロープ・救命胴衣・浮環などの救助資機材やAED・応急手当資器材の投下や搬送も可能となり、隊員・車両が容易に近づけないような現場においては要救助者や傷病者へのアクセススピードが格段に上がり、災害対応力が飛躍的に向上すると期待しております。

 今後、固定観念や前例にとらわれることなく、様々な場面での有効活用を検討し、消防分野におけるドローンの活用場面を一層広げ、消防の使命を全うしたいと考えております。