2022年12月16日、DJIは、精密農業や環境モニタリング分野で幅広いシーンに対応する「Mavic 3 Multispectral」(以下、Mavic 3M)を発表した。マルチスペクトル画像システムにより作物の成長情報を捉え、より効果的な作物生産を実現する。

 推奨基本製品構成(Mavic 3M+DJI Care Enterprise+Maintenance Program Service)の参考価格は、約70万円~。日本での製品出荷は、2023年1月を予定している。

「Mavic 3 Multispectral」。重量は951g、折りたたむことでバッグに収納できる程の大きさになる。

 Mavic 3Mは、2in1カメラシステムによりさまざまな情報を表示・収集する。

 RGBカメラは、4/3インチCMOSと2000万画素イメージセンサー、最高速度1/2000sのメカニカルシャッターを搭載。最速0.7秒の高速連続撮影により作業効率を向上させる。

 RGBカメラに加え、4眼式マルチスペクトルカメラにより、人の目では感知することができない細部までを捉える。4つのマルチスペクトルカメラはそれぞれ500万画素、以下の波長をスキャンする。

グリーン(G):560nm ± 16nm
レッド(R):650nm ± 16nm
レッドエッジ(RE):730nm ± 16nm
近赤外線(NIR):860nm ± 26nm

 この2つのカメラを組み合わせることで、高精度な航空測量、作物の生育状況の把握、自然資源調査などのアプリケーションを実現する。

 センチメートルレベルの測位が可能なRTKモジュールを搭載。ドローン、カメラ、RTKモジュールはマイクロ秒レベルで同期しており、各カメラの撮像中心の位置情報を正確に取得することで、標定点を使用せずに高精度な航空測量を行う。バッテリー駆動時間は最大43分、1回のフライトで200haの測量・地図作成作業が完了する。

 2チャンネルの送信信号と4チャンネルの受信信号を統合したDJI O3 Enterprise伝送を搭載し、最大8kmの長距離伝送に対応。全方位障害物検知機能を搭載し、全方位の障害物を感知、正確な回避をサポートする。

 さまざまなエコシステムに統合することが可能。Pilot 2のMQTTプロトコルに基づくDJI Cloud APIを通じて、Mavic 3Mをサードパーティのクラウドプラットフォームに直接接続し、情報、リアルタイム映像、写真データなどを収集でき、個別アプリを開発する必要はない。
 また、Mobile SDK 5(MSDK5)に対応しており、インテリジェントモニタリングなどのシナリオに合わせた専用の制御アプリを開発できる。

 DJI TerraとDJI SmartFarmプラットフォーム(対応未定)を活用し、NDVI植生指標を生成、より効率的かつ局所的な作物処理のためのデータを提供する。自動圃場スカウティングにより作物の異常を検出、分析を行うことで、1人で70haの農地管理が可能となる。