2022年11月24日、ブルーイノベーションは、2022年10月より仙台市が「津波避難広報ドローンシステム」の本格運用を開始したことを発表した。同システムは、Jアラート(全国瞬時警報システム)と連動してドローンを自動運航し、津波避難広報を実施する。

 東日本大震災に係る復興の経験と教訓を世界に発信するため、仙台市は「仙台防災枠組 2015-2030」に沿って、あらゆるレベルでの総合的な災害リスク管理を策定し、市民社会の視点から減災に取り組んでいる。同システムは国の未来技術社会実装事業による支援を受け、津波情報伝達システム等、すでにある避難広報手段の強化・多重化として開発したものとなる。

 同システムの開発・構築は、日立国際電気、ノキアソリューションズ&ネットワークス、ブルーイノベーション、アンデックスとの共同企業体(JV)が担当した。

参加企業JVにおける担当業務
日立国際電気(代表者)・プロジェクト全体取りまとめとシステム・運用設計
・システム管制プラットフォーム/プライベートLTEシステムの構築
ノキアソリューションズ&
ネットワークス
・プライベートLTE機器の提供
ブルーイノベーション・ドローン本体、ドローン格納庫、全自動ドローン運航・管理システムの提供
アンデックス・地域BWAとプライベートLTEの接続、免許申請

「津波避難広報ドローンシステム」概要

「津波避難広報ドローンシステム」概要

 ネットワーク基盤として自治体専用のプライベートLTE網を活用し、以下の機能を実現した。

1. Jアラートに連動し、市内施設に設置されたドローン格納庫から、スピーカーおよびカメラを搭載した2機のドローンが自動離陸。
2. あらかじめ定められた海岸線や河口付近のルートを自動飛行しながら津波避難警報・注意報を発し、観光客や釣り人、サーファーなどに対し避難広報を実施。
3. 避難広報と同時に最前線の現場を上空から俯瞰的に撮影し、収集した情報を仙台市災害対策本部にリアルタイムに伝送し共有。
4. 活動終了後はドローン格納庫に帰還し自動着陸・自動給電。
5. 着陸の際、規定以上の風速を観測すると、安全のためドローン格納庫周辺に緊急避難着陸。
6. これらの一連の機能は、自動実行され、職員の安全確保と省力化、有事での状況判断等に寄与する。

サブシステム

【システム管制プラットフォーム】
 ドローンやネットワーク/IT機器などの状態や気象情報などのさまざまな条件を常時監視し、システム全体の運用管理を行い、安全かつ最適なドローンシステムの運用を実現。

【全自動ドローン飛行制御システム】
 周辺状況や複数のドローンならびにドローン格納庫の稼働状況を、一元的かつリアルタイムに集約・管理し、自動で離陸命令を発信する。ドローンへの自動給電機能も有しており、一連の飛行・離着陸オペレーションを安全に遂行する。

【プライベートLTEコアシステム】
 自営無線であるプライベートLTEを活用したネットワークインフラを構築し、ネットワーク輻輳(ふくそう)の影響を受けず、高いセキュリティを保った安心安全な運用が可能。

▼仙台市 津波避難広報ドローン事業
http://www.city.sendai.jp/okyutaisaku/kikitaisaku/documents/tunamihinannkouhoudoro-n.html