2022年11月17日、オプティムは、AI・IoT・ドローンを活用したスマート農業ソリューションを用いて栽培した「スマート米2023」(2022年度産新米)の販売を開始することを発表した。新たに山形県「はえぬき」を追加し、2022年度は残留農薬不検出の減農薬ブランド商品を例年以上に拡充しているという。オプティムが運営するオンラインストア、消費者向け販売サイトのほか、卸業者向けに販売を行う。
スマート米は、スマート農業を推進する「スマート農業アライアンス」の取り組みの一つである「スマートアグリフードプロジェクト」の成果として収穫したものとなる。同プロジェクトではドローン・AI・IoTを利用して減農薬を達成し、高付加価値がついた農作物の生産、流通、販売を行う。
2022年は生産資材高騰に伴い生産者の栽培コストが増加する懸念から、オプティムのピンポイント農薬散布・施肥テクノロジーを中心としたAI解析やドローン技術を用いて、生育状態に応じた適正な営農支援を中心に、農薬・肥料の削減を目指しながら品質向上を試みたという。
具体的には、契約圃場の空撮を通し、圃場ごとの雑草繁茂状況、稲の生育状況を解析し、農薬散布および追肥判断や生育阻害要因の特定を実施。これにより営農・生産体制の安定化を図り、スマート米を通して地域の持続可能な生産体制構築を目指す。また、農薬削減の取り組みについては解析手法を改善したことにより精度が向上し、データに基づいた施肥・農薬散布をすることで拡大した。
<「スマート米2023」ラインナップ>
品種 | 販売開始時期 |
---|---|
新潟県産「ミルキークイーン」 | 11月中旬予定 |
新潟県産「にじのきらめき」 | 11月中旬予定 |
新潟県産「こしいぶき」 | 10月中旬 |
兵庫県産「コシヒカリ」 | 11月中旬予定 |
福島県産「天のつぶ」 | 11月中旬予定 |
青森県産「まっしぐら」(※1) | 11月下旬予定 |
青森県産「つがるロマン」 | 11月下旬予定 |
石川県産「コシヒカリ」 | 11月中旬予定 |
石川県産「ひゃくまん穀」 | 11月中旬予定 |
宮城県産「ひとめぼれ」 | 11月中旬予定 |
山形県産「はえぬき」(※1) | 11月下旬予定 |
※1 2022年11月8日時点、残留農薬検査不検出見込み(検査中)。
今回のスマート米は、同プロジェクトに参加する生産者(新潟県、兵庫県、福島県、青森県、石川県、宮城県、山形県)が管理する契約水田において、オプティムが特許を保有するピンポイント農薬散布・施肥テクノロジーを用いて栽培した。同テクノロジーは生育管理にドローンを活用し、AIによって病害虫が検知された箇所のみにドローンを用いてピンポイントで農薬散布、また作物の葉色を診断することで追肥が必要な箇所を特定し、ドローンを用いて局所施肥を行う。
また、今年度は生産者の労力を削減する栽培技術体系を目指し、「適期作業支援アプリ」「ドローン打込条播(じょうは)(※2)技術」による栽培に成功した。
適期作業支援アプリとは、生育予測に基づいた適期農作業をレコメンド(推奨)する営農支援アプリで、品種や移植日などの情報を登録すると、生育予測情報や適期農作業情報などのレコメンド情報が受け取れる。
ドローンを用いて種籾を直接水田に打込播種(はしゅ)(※3)するドローン打込条播技術は、従来の移植と比較して育苗にかかる労力・コストの削減ができ、条播での均一播種により無人ヘリ、ドローンによる散播で課題となる鳥害リスクの回避や苗立ちの均一性を実現し、収穫量・品質向上を図る。
※2 一定の間隔で平行したうねを作り、これに種子をまくこと。
※3 作物の種をまくこと。