2022年10月19日、日立製作所(以下、日立)と、損害保険ジャパン(以下、損保ジャパン)は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「産業DXのためのデジタルインフラ整備事業/3次元空間情報基盤に関する研究開発」において「3次元空間情報基盤活用による自律移動ロボット普及に向けた実証実験」が採択されたことを発表した。

 同事業では、ドローンによる送電設備点検、橋梁点検、物資輸送の3つのユースケースの実証、3次元空間情報基盤等の研究・開発、ドローン事業のリスク管理(リスクアセスメント・保険)に取り組む。実施期間は2024年度末まで。

 具体的には、デジタルアーキテクチャー・デザインセンター(DADC)が設計した空間IDおよび3次元空間情報基盤のアーキテクチャ(※)に基づき、ドローンの自律運行を管理するシステムのプロトタイプを研究・開発して送電設備点検、橋梁点検、物資輸送の3つのユースケースで実証実験を行う。3次元空間情報基盤を活用することで、ドローンの運行に関わる情報(地物・地形情報や気象情報など)の統合的な管理やその容易な利活用を可能とし、より安全で高効率な運行の実現が期待される。

※空間IDおよび3次元空間情報基盤のアーキテクチャ:3次元空間の位置を一意に特定して、モビリティや衛星、街中のセンサー等で取得される現実空間に関する異なるデータの組み合わせを容易にし、また、時間変化の情報を正確に反映し、個別のサービスに必要な実空間情報だけを提供する仕組み。

ユースケース実証の概要

 3次元空間情報基盤と同プロジェクトで開発する運行管理システムを連接したビジネスモデルの経済価値について検証する。また、ユースケースごとにリスクアセスメントを実施し、その結果をもとに運行管理システムと連携したドローン事業者向けの損害保険スキームを検討するとしている。

3次元空間情報基盤等の研究・開発、ドローン事業のリスク管理の概要

<各社役割>

日立
3次元空間情報基盤等の研究・開発(空間IDなどDADCのアーキテクチャとの協調領域や運用に適したメタデータの検討など)
3次元空間情報基盤を活用した運行管理システムのプロトタイプの研究・開発
3つのユースケースに関する事業性および有効性の検証

損保ジャパン
3次元空間情報基盤を活用したドローンの飛行に関するリスクアセスメント手法の研究・開発
リスクアセスメントによる地権者等の懸念の軽減効果の検証
3次元空間情報基盤等と連携した保険スキームの検討