2022年8月5日、竹中工務店、日立製作所、gluonは、屋内外でのパーソナルモビリティの自律走行に向けて、デジタルツインの構築および走行実証に関する本格的な取り組みを開始すると発表した。2022年11月からパーソナルモビリティを走行する実証を行う。

 国土交通省が主導する「Project PLATEAU(プロジェクト プラトー)」の一環として実施するもので、同実証を通じ、都市・建物とパーソナルモビリティのリアルタイム連携や、リアル空間・バーチャル空間のシームレスな連携を実現し、例えば長距離歩行に不安を感じる人への移動手段の提供など、実社会への普及・展開を目指すとしている。

 一般的にパーソナルモビリティの自律走行には、対象エリア内を事前に走行させて独自のマップ情報を作成する必要があり、範囲が広い屋外での自律走行実現の課題となっている。また、現状では一般的に、屋外自律走行の安全性確保のためにモビリティに装着せざるをえない多くのセンサーを削減することも課題となっている。
 今回の実証では、事前走行なしでの屋内外を連続させたパーソナルモビリティの運用を目指し、Project PLATEAUにて整備された3D都市モデルと3D建物モデル(BIMなどのデータ)を統合したデジタルツインを構築し、その実証を行う。

 パーソナルモビリティを走行する実証は、人とロボットが共生するプラットフォームの実現を目指す実験場「コモングラウンド・リビングラボ(CGLL)」(大阪市北区天満)と、その敷地内で行う。これまで難しかったパーソナルモビリティの建物内外連続での自律走行、デジタルツインを活用した円滑な自律走行の効果検証、3D都市モデルと3D建物モデルとの統合手法の開発、都市レベルのデジタルツイン構築と社会実装に向けたガイドラインの作成などを行う。

 3社はコモングラウンド・リビングラボに2021年7月から参画し、これまで建物内に設置したLiDARなどのセンサーから取得した位置情報により、屋内におけるモビリティや建物設備との連携制御を行いデジタルツインを構築してきたという。これらの知見と技術を活用して実証を推進するとしている。

 また、CGLLでの実証の他に、地下鉄御堂筋線本町駅周辺エリアにて、BIMモデルと3D都市モデルとを連動させてARナビ(拡張現実(AR)を活用し、カメラを通じて取得したリアルタイムの映像に重ねてナビゲーションを表示するもの)の実証実験を行い、駅と建物をつないだまちづくりのデジタルツインを推進する方針だ。

3社の役割
竹中工務店・共同提案体の代表企業
・3D都市モデルと3D建物モデルの統合業務 ガイドライン作成の統括 など
日立製作所・デジタルツイン構築、パーソナルモビリティ走行の実証の統括 など
gluon・3D都市モデルと3D建物モデルの統合業務 ガイドライン作成 など