2022年9月27日、DJIは、新製品となるMavic 3 Enterpriseシリーズの「DJI Mavic 3E(Enterprise)」と「DJI Mavic 3T(Thermal)」を発表した。幅広い商業ミッションに対応できるよう設計されたコンパクトなポータブル産業用ドローンで、飛行時間は45分と長時間の業務にも対応する。

 参考価格はそれぞれ、Mavic 3Eの推奨基本製品構成(Mavic 3E+DJI Care Enterprise+DJI Terra Electricity Overseas 1年・1デバイス)は約70万円から、Mavic 3Tの推奨基本製品構成(Mavic 3T+DJI Care Enterprise)が約80万円からとなっている。予約注文はDJI Eeterprise正規販売代理店で受け付けており、製品の出荷は10月を予定している。

DJI Mavic 3E(Enterprise)

 DJI Mavic 3Eは、標定点を必要としない効率的なマッピングや測量が可能。20MP広角カメラは3.3μmピクセルの4/3インチCMOSセンサーを採用し、インテリジェント低照度モードと組み合わせることにより、薄暗い状況でも性能が大幅に向上する。最大56倍のハイブリッドズームカメラは、12MP画像で162mmという焦点距離(35mm判換算)を実現。メカニカルシャッターでブレを防ぎ、0.7秒の高速インターバル撮影に対応している。

「DJI Mavic 3E」

DJI Mavic 3T(Thermal)

 DJI Mavic 3Tは、消防、捜索救助、点検、夜間業務での活用を想定し、1/2インチCMOSセンサーを備えた48MPの広角カメラ、および61°の視野角(DFOV:対角視野)と40mmの焦点距離(35mm判換算)の640×512ピクセル解像度を持ったサーマルカメラを搭載している。望遠(ハイブリッドズーム)カメラはMavic 3Eと同じものとなる。
 Mavic 3Tのサーマルカメラは、ポイントとエリアの温度測定、高温アラート、カラーパレット、等温線に対応している。また、サーマルカメラと望遠カメラは、2画面連動の28倍連続デジタルズームを搭載しており、両画面を比較することができる。

「DJI Mavic 3T」

共通する機能

 映像伝送にはDJI O3 Enterprise Transmissionを採用し、最大操作範囲は15km(日本国内では8km)、1080p/30fpsで高フレームレートの映像をリアルタイムで提供する。

 Mavic 3 EnterpriseシリーズのドローンはDJI AirSenseを搭載しており、飛行中の領域で有人航空機からのADS-B信号を受信し、ドローンパイロットに付近で飛行している航空機がいることを警告する。また、DJI APAS システム5.0(高度操縦支援システム)は6個の全方向性魚眼センサーにより、全方向障害物回避を実現する。

 同シリーズは、飛行ミッション中の写真、動画、フライトログ、その他のデータを保護するセキュリティ機能を備えている。ローカルデータモードを有効にすると、DJI Pilot 2フライトコントロールアプリがインターネット経由でデータを送受信することができなくなる。機体と送信機との間の無線リンクには、AES-256暗号化を採用している。

アクセサリー

・DJI RC Pro Enterprise :1,000ニットの高輝度画面で直射日光の下でも視界を確保し、内蔵マイクでクリアな通信を実現するプロフェッショナル送信機。

・RTKモジュール :ネットワークRTK、カスタムネットワークRTKサービス、D-RTK 2 モバイル・ステーションのサポートにより、センチメートルレベルの精度を達成する。

・D-RTK 2 モバイルステーション :主要なGNSS(全球測位衛星システム)全てに対応する高精度GNSSレシーバー。リアルタイム微分補正を可能とする。

・スピーカー :テキストから音声への変換、オーディオストレージ、繰り返し再生が可能。パイロットが上空からメッセージを配信できるようになるため、捜索と救助の効率が向上する。

ソフトウェア

・DJI Pilot 2 :パイロットの効率と飛行の安全性を向上させるために設計された改良型の飛行インターフェース。タップするだけでドローンとペイロードを制御できる。ユーザーはドローンのハードウェア、動画ライブ配信(一部地域使用環境により異なる)、写真データにアクセス可能。

・DJI FlightHub 2 (日本での発売は未定):ドローンオペレーション管理向けのオールインワン型クラウド運用管理ソフトウェア。ルート計画とミッション管理を使用して飛行運用を効率的に管理できる。

・DJI Terra :ミッション計画から2Dおよび3Dモデルの構築処理まで、作業のすべての段階で必要な機能をすべて備えたマッピングソフトウェア。

・DJI Thermal Analysis Tool 3.0(DJI熱分析ツール3.0) :Mavic 3Tでキャプチャした画像を分析、注釈付け、処理し、点検時の温度異常を検出する。