2022年9月26日、大末建設と電気通信大学は、建設現場の地下ピット内を自動的に点検するヘビ型ロボットを共同開発したことを発表した。

 ロボットを活用することで建物の地下ピット内の点検員による目視点検が不要となり、点検員の業務環境を改善することができる。また、同ロボットは自律的に動作をし、遠隔操作が不要なため業務の効率化が期待される。

 2023年度より大末建設の建設現場地下ピット点検に導入し、さらに地上階の施工支援向け自律走行ヘビ型ロボットの共同研究にも取り組むとしている。

自律走行ヘビ型ロボット

 建物の地下ピットは建物の電気配管、給排水設備等が配置される重要な部位で、大末建設では自社施工建物の竣工前に、地下ピット内の配管・設備の稼働状況やコンクリート打設状況の検査を行うことを義務付けているという。地下ピットは天井が低く、区画間の移動には「人通口」と呼ばれる狭い空間を点検員が通過する必要があることに加えて、湿度、二酸化炭素濃度が高く酸欠危険場所に指定されているなど、精神的・肉体的に非常に負担の高い業務環境である。
 こうした背景から、点検員の業務環境の改善および業務の効率化を目的に、地下ピット内を自律的に走行して撮影する無人点検ロボットの調査・研究に着手した。

 無人点検ロボットの開発では、地下ピットの各区画をつなぐ最大1mの高さを有する人通口の乗り越えを最優先課題として、段差乗り越えに強みを持つ同大学の田中基康教授(機械知能システム学専攻)のヘビ型ロボットをベースに、二次元巡回と三次元人通口乗り越え機能を併せ持つ新規の自律走行アルゴリズムを搭載したヘビ型ロボットの共同開発を行った。

 二次元巡回では、ヘビ型ロボットの各関節部の浮上と接地の切り替えを活用して、自律走行で障害物を回避しながら区間内を移動し、内部の状態を撮影する。三次元人通口乗り越え機能では、適切な経路計画と速度制御により、モーターの過負荷や転倒を回避しながら自律的に人通口を通過する動作を実現している。

ロボットが人通口を通過する様子