2022年9月16日、テラ・ラボは、2022年8月9日と19〜20日に、研究拠点を置く福島県南相馬市を対象として、新機体モーターグライダーを使ったデータ検証を実施したことを発表した。

 翼長16mの有人機であるモーターグライダーは、これまでの無人航空機(4m固定翼機)よりも長時間フライトが可能で、高高度から広域かつ安定したデータを取得することができる。機体の観測機器用ポッドには、点群データを取得するための「LiDAR VUX-240」と、高精度なオルソ画像を作成するための撮影機材「Phase One 150MP」を搭載。1回のフライトで、より広域な被災現場周辺のデータ取得が期待されるほか、高精度の「共通状況図(COP)」の作成・迅速な解析・提供にもつながるとしている。

 2022年秋から愛知県内などでもモーターグライダーを中心とした実証実験を行い、有人機を無操縦者航空機として操作できるよう取り組みを進める方針だ。

検証用有人航空機(動力滑空機)スペック

 災害発生時は被害状況をより迅速に把握する必要がある一方、これまでの航空機や固定翼機によるデータ収集は、飛行や取得後の解析などに時間を要したことから、災害対策本部へのデータ提供が遅いという課題があった。
 同社ではモーターグライダーに最先端の小型観測装置を搭載し、災害発生時のタイムラインに最も適したデータ解析方法を模索しており、今回の実証実験を踏まえた高精度写真やLiDARのシステムによる計測をもとに、以下の時間短縮の検証を進めるとしている。

1. 飛行計画時間の短縮化(発災前から情報収集し、飛行計画を立てる)
2. 離陸準備が整うまでの時間を短縮するため、格納庫から滑走路までの準備時間を短縮化
3. データ収集時間の短縮化を図るため、高精度カメラとLiDARの特性を活かす一方で、不要なデータを間引くなどデータを最適化
4. 飛行終了後のデータ解析時間を短縮するため、重要な要素を切り出した解析を重点的に行い、災害対策本部のタイムラインに合わせたデータ共有のあり方を見直す

福島県南相馬市でのモーターグライダーによるデータ収集検証

8月9日:飛行高度734m、地上解像度7.4㎝、撮影面積24.7㎢

8月19日:飛行高度2690m、地上解像度26.4㎝、撮影面積516㎢

8月20日:飛行高度364m、地上解像度3.6㎝、撮影面積41.3㎢