2022年9月13日、テラドローンは、大手石油メーカーであるエクソンモービル(Exxon mobile)、シェル(Shell)、シェブロン(Chevron)などに対して、「UTドローン」を活用した板厚検査のデモ会をシンガポールにおいて開催したことを発表した。同社はこれまでにオランダをはじめ5カ国に展開しており、欧米に続きシンガポールでの展開を目指すとしている。

 デモ会では、タンクの表面を壊さずに板厚点検が可能な超音波探傷機能を搭載した自社製のUTドローンを用いて、タンクの表面を表現した板に対して実際に板厚検査とデータの解析を行った。使用した機体にはオランダの特許を取得した接触触媒(カプラント)ディスペンサーが搭載されており、飛行中でも探触子にカプラントの供給が可能であるため、効率的に検査を進めることができる。また、3つの高精度カメラにより飛行中のドローンからの映像や、UTグラフを地上から即時的に確認することも可能だという。

 タンクの目視検査は法律で義務づけられており、定期検査が必要となる。⼈⼒による従来の方法では、空にしたタンク内に足場を組んで検査を行うため、時間がかかる上に⾦銭的な負担も⼤きく、また、検査員が足場を伝いながら作業するため落下事故などの危険を伴う。

 ドローンのタンク点検では足場の設置は不要となり、検査期間を10分の1に短縮、金銭的なコストカットも期待できる。検査時の安全性も高まり、労働衛生環境の向上につなげることも可能だ。

 同社は、老朽化が進んでいるタンク定期点検においてUTドローンを活用し、オランダを始め日本など5カ国に展開してきた。今後、シンガポールのタンクターミナルや市場規模を基に、同国での展開とその他海外各地での展開を目指すとしている。

【参考】UTドローンによる点検の様子(「Terra UT drone tank rafter thickness measurements」Terra Inspectioneering YouTubeチャンネル)