KDDI、KDDIスマートドローン、ティアフォー、Psychic VR Labは、茨城県つくば市の協力のもと、内閣府から採択された「先端的サービスの開発・構築等に関する調査事業」の取り組みを、2022年8月25日から開始する。

 同事業では、複数台のドローンと自動配送ロボットを組み合わせ、PCR検体輸送などのさまざまな目的に応じた物流サービスの実現可能性を検証するとしている。
 ドローンの飛行にあたっては、現実空間にバーチャルコンテンツを重ね合わせ、ドローンの飛行経路を可視化し「空の道」をつくるリアルメタバースを、都市連動型空間メディアとして活用する。また、都市連動型空間メディアを通じて、つくば市らしいコンテンツやWeb3.0教育プログラムを提供する取り組みも行う。

 4社は、2023年度以降のサービス化を目指すとしている。

取り組みの全体イメージ

 つくば市は、2022年4月、大胆な規制改革を伴ったデータ連携や先端的サービスを実現し、移動・物流、医療・介護、子育てなどさまざまな分野の地域課題を解決する「スーパーシティ型国家戦略特区」に指定された。スーパーシティには、デジタルを通じて地域の個性を生かしながら地方を活性化し、持続可能な経済社会を実現するという「デジタル田園都市国家構想」を先導することが期待されている。

 この事業により、データ連携や先端的サービスの社会実装を通じて地域課題を解決し、デジタル田園都市国家構想の早期実現につなげるとともに、サステナブルな社会の実現に向けた取り組みを推進していくとしている。

 ドローンを活用した取り組みとして、2022年度を目途に実現予定の有人地帯における補助者なし目視外飛行(レベル4飛行)を想定し、新型コロナウイルス感染症のPCR検体を医療機関へ輸送する実証や、複数のドローンによる複数の目的に応じた配送サービスを提供する。
 KDDIスマートドローンの運航管理システムで複数ドローンの飛行を遠隔管理し、複数台同時運航の際のリスク評価のあり方などを検討する。PCR検体輸送を導入済みの中国では、輸送時間が1/3に削減されるなどの効果が出ており、日本においてもPCR検体などの輸送ルールの整備を目指す。
 ドローンと自動配送ロボットが連携した配送サービスを提供することで、道路における安全な走行を実現するための規制・制度の検討に貢献するとしている。

ドローンによるPCR検体輸送イメージ

 また、ドローンが飛行する経路および運行情報をリアルメタバース上にARコンテンツとして表示し、地域住民がリアルタイムでそれらを視覚的に認識することで、ドローンの社会実装に向けた地域住民の認知獲得および理解浸透に取り組む。

ドローン空路(空の道)可視化イメージ
各者の役割
KDDI事業全体の企画・統括、委託事業管理、通信環境の構築
KDDIスマートドローンドローンの運航・検証および、ドローン、自動配送ロボットに関するマルチシェアリングモデル構築に向けた提案
ティアフォー自動配送ロボットの運行・技術およびサービス検証
Psychic VR Labつくば市主要スポットのデジタルツイン開発とコンテンツ開発
教育プログラムの開発、提供
つくば市(協力)事業への助言、社会実装に向けた官学民連携の推進、住民との合意形成