産業用小型ドローン「IBIS」

 2022年7月28日、Liberaware(以下、リベラウェア)は、日本製鉄と共同で、7月より製鉄所内の大型構造設備にて産業用小型ドローン「IBIS」の運用を開始したことを発表した。

 近年、製造業や各自治体では高度経済成長期に建設・整備されたプラントやインフラ設備において、老朽化や人手不足による整備作業負荷とコストの増大が顕在化しており、産業基盤のDXによる機械化・遠隔化・自動化の推進が喫緊の課題となっている。

 製鉄所内には構造が複雑で大型の設備が多く、点検する際にも高所での作業が必要となるため、これまでもドローンを活用した点検を導入していた。一方、複雑な構造の設備の狭い部位・場所においては、汎用ドローンでは複雑な障害物に対して小回りが利かない、気流がある場所での静止や自律飛行が難しいなど、製鉄所内での安定飛行や精度の高い撮像には限界があった。

飛行する「IBIS」

 今回リベラウェアが開発した産業用小型ドローンIBISは、寸法20cm、重量は185gと業界最小クラスの機体に高度な姿勢制御機能を搭載しており、狭く複雑な設備内部での安定飛行、高精度の撮像を実現する。また、取得した動画および画像データから点群などの三次元データ等を生成することができる。
 IBISを活用することにより、高所作業の削減や整備作業の負荷を軽減し、さらに三次元データを用いて設備保全の高度化を推進し、生産の安定化・効率化を図る。

撮像データ(イメージ)

 リベラウェアは、屋内点検分野に特化した小型ドローンIBISの開発および、独自の画像編集解析を含む点検ソリューションを提供している。狭所空間の巡視作業をドローンで代替することによって工数負担の削減にも貢献するとしている。ドローンが撮影した映像を3次元化や点群に編集する技術や人工知能(AI)を活用した技術にも力を入れており、ドローン機体のハードウェア技術と映像解析・編集のソフトウェア技術を組み合わせたソリューションを展開している。