2022年7月18日、SkyDriveは、空飛ぶクルマの仕様の型式証明取得に向け、自動車や航空宇宙業界等に高度な炭素繊維強化プラスチック(CFRP)用品を提供する東レ・カーボンマジック(以下、TCM)と取り組んできた複合材機体構造の開発について、材料適合性試験を開始したことを発表した。

 型式証明とは、国土交通省が航空法に基づき、新たに開発された航空機についてその型式ごとに設計、構造、強度、性能などが所定の安全基準および環境基準に適合していることを証明するもの。同社は2022年3月に、型式証明審査の適用基準を「耐空性審査要領第 II 部(第61改正)」ベースで構築することについて、国土交通省航空局と合意している。

 2019年に空飛ぶクルマの有人飛行に成功し、現在2人乗りの機体を開発しているSkyDriveは、2025年に大阪ベイエリアにおいて、現在型式証明申請中の2人乗り機体「SkyDrive式SD-05型機」を利用したサービスの開始を目指している。

 同機の開発には、機体の軽量化が最重要となる。これを実現するには、TCMが保有する設計・製造技術力が極めて有効であることから、軽くて強いCFRPでの空飛ぶクルマの構造について、これまで議論・試作を重ねてきたという。

 CFRPはプラスチック(樹脂)を母材とし、そこに炭素繊維(カーボンファイバー)を強化材として加えたもの。炭素繊維には、高剛性、高強度といった特徴のほか、導電性、耐熱性、低熱膨張率、自己潤滑性、X線透過性も備えており、こうした特徴を生かすことで軽量化、大型化、小型化、省エネ化などが期待でき、さまざまな用途で幅広く使われている。

 TCMは、レーシングカー部品の設計・製作により培った設計技術力、試作提案力および高精度オートクレーブ生産技術により、自動車用途だけでなく幅広い分野にCFRP部品を提供している。

 SkyDriveはTCMと材料適合性試験を進め、型式証明の取得、そして2025年の大阪ベイエリアにおける空飛ぶクルマのサービス開始に向け、開発を進めるとしている。

各社コメント

 当社がレーシングカー開発で培った軽量化技術、空力技術が、「空飛クルマ」でご活用いただけることを嬉しく思います。今後、さらに飛行に求められる要素技術開発にも積極的に取組み、SkyDrive様とともに、未来社会に向け、邁進してまいります。

東レ・カーボンマジック 代表取締役社長 奥 明栄 氏

 東レ・カーボンマジック様の高度な炭素繊維強化プラスチックは、当社の二人乗り機体「SD-05」には欠かせない要素です。今回の「材料適合性試験」を端緒に、今後も軽くて強い「空飛ぶクルマ」の機体構造開発を一緒に推進し、エアモビリティ社会の実現を目指してまいります。

SkyDrive 代表取締役CEO 福澤 知浩 氏