プロドローンは、7月5日、6日、愛知県豊田市の藤岡ヘリポートにおいて「DRONE EXPO 2022 in Aichi」を開催した。

 イベントでは、災害、監視点検、物流の3つのシーンを想定したデモを実施。時おり雨が強く降る中、豊田市消防本部による山岳救助ドローンによる救助活動のデモや、風速30m/sの環境でも飛行可能なヘリコプター型大型ドローンの飛行など、同社のさまざまなドローンとそのユースケースを披露した。

 イベントのオープニングでは、FAI/F3C RCヘリコプターで6度の優勝経験を持つ伊藤寛規氏と、2019年FAI/F3C世界選手権の日本選手団団長を務めた同社社員の国井伸也氏が、アクロバティックなランデヴーフライトを行った。

豊田市消防本部のデモの様子

各デモフライトの詳細

1. 豊田市消防本部

 ドローンレスキュー車がサイレンを鳴らしながら登場し、山中での遭難者救助を想定した訓練を実施した。ドローンに搭載したカメラの映像を見ながら捜索し、遭難者にホイッスルを投下、遭難者が自ら吹くことで位置を地上捜索隊に知らせ、上空にホバリングすることで要救助者の位置を示した。ドローンは、火災現場での状況把握や海難救助にも使用しているという。機体は、豊田市消防様特別仕様「PD4-AW」。

2. 快適空間FC

 快適空間FCは、ドローン測量のデモンストレーションを実施。レーザー測量は、1秒間に75万発のレーザーを照射し、木が生い茂っている森などでも地形を正確に捉える特徴がある。従来のヘリコプター飛行は高高度、高速であるのに対し、ドローンでは低高度、低速の飛行が可能となり、高密度なデータを収集し、短時間で正確な測量を行える。
 多少の雨天、夜間の飛行も可能なため、測量に要する日数をさらに短縮することもできる。また、発災後72時間以内に人命救助を目指す中、いち早く正確に被害を捉え、二次災害を起こさないために地盤の状況を把握するなど使用用途は広がっている。使用機体は「PD6B-Type3」。

快適空間FCのレーザー測量ドローン

3. クオールホールディングス

 クオールホールディングスは、山間部や離島等、地方において医療リソースが届かない不便や不利、不安の解消を目的に、通常時・緊急災害時を想定した医薬品のドローンによる配送の整備に向けた実証を行っている。
 デモンストレーションでは、温度管理や位置情報管理ができる医療品運搬ボックス(開発:トッパン・フォームズ)、その後、20kgのウェイトを積んで飛行を実施した。使用機体「PD6B-Type3」は重量のある経口補水液や栄養ドリンクなどを運搬するのに適しているという。

クオールホールディングスの医薬品物流ドローン

4. 社会実装早期実現に向けた機能

 プロドローンでは、DO 178C(民間航空機搭載ソフトウェアの開発ガイドライン)のDesign Assurance Levelにおいて、「故障すると即墜落となる RiskA」から「全く影響を与えない RiskE」の5段階で規定されていることに基づき、リスクレベルを下げるための機能を開発している。
 同社の機体には複数のマイクロコンピュータユニットが搭載されており、通常は別々のタスクをこなしている。メインのマイクロコンピュータユニットが異常を起こした際、他のマイクロコンピュータがそれを検知し機能を代替することで、致命的な故障を防ぐフェイルセーフを実現する。現在は開発の最終段階にあり、年内の実装を目指すと発表した。

プロドローン開発部長 伊藤聖人氏による機体安全性能に関する発表の様子

5. シングルローター型ドローン「PDH-GS120」

 PDH-GS120は、長時間飛行、長距離飛行、耐風性という特徴から、海上での監視や離島間の物流などに適している。デモフライトでは、監視用と物流用の2機を同時に飛行させた。物流用機体の左右2つのカーゴバッグには血液パックや緊急医療セットを搭載した。

「PDH-GS120」2機のフライト

6. 重量物運搬ドローン、全天候型ドローン

 荷物を40kg以上積載可能な、12枚の羽を備えた機体のデモンストレーションを実施。現在開発中で、将来的には50kgを積み50km移動できる機体を目指しているという。荷物を持ち上げて飛行し、荷物をリリース、出発地点に戻り着陸した。
 続けて全天候型ドローン「PD4-AW-AQ」の飛行を行った。飛行した後プールに着水、搭載したカメラからのクリアな映像を確認した。

離着水可能な「PD4-AW-AQ」(左)、重量物運搬ドローン(試作機の12枚機)(右)

7. 名古屋鉄道との業務提携

 名古屋鉄道とプロドローンは、安全安心の空のインフラを構築し社会に貢献することを目的として、業務提携契約を締結した。
 名古屋鉄道は、名鉄グループの中期経営計画における重点テーマ「今後成長が見込まれる分野の収益力強化による収益構成の見直し」の一環として、「ドローン・空間情報事業への取り組み」を推進している。ドローンスクール事業を展開するとともに、地域でのネットワークを生かしながら、地域課題の解決に資するドローンサービスの事業化に向けた取り組みを行っている。
 両社はこれまで線路網の点検や災害時物流に向けて実証実験を重ねており、今回の業務提携を軸にさまざまなサービスを展開し、地域社会に貢献するとしている。