2022年6月20日、浪工学園は、国産ドローンの操縦・点検を行える人材育成を目的とした専門学校設立に向け、VFR、理経と企業連携を開始したことを発表した。2023年4月の設立を目指し、準備を進めるとしている。

 ドローン操縦ライセンスには、民間機関で取得可能な国土交通省認定の資格がいくつかあり、一般的には座学講習(オンライン講習を含む)、実技講習および試験で取得が可能になっている。一方、講習での操縦時間は1~7日程度しかなく、2022年12月からは国家資格も導入される予定であるが、ドローンを業務活用する技術を身につけるには操縦時間が十分ではないという。また、緊急着陸等あらゆる場面での操縦経験が不足しているという課題がある。

 情報漏洩などの安全性に関する懸念を受け、日本政府は「セキュリティが担保されたドローンに限定して調達」し、「既存導入されているドローンについても速やかな置き換え」を実施する方針を公表。政府がドローンを購入する場合には、計画書を内閣官房に提出して審査を通すことが必須となった。この流れを受け、浪工学園はドローン専門学校の設立に向けて、国産ドローンに携わる企業2社との連携を開始するに至った。

 特にセキュリティ面が懸念されている公共事業の点検現場などで、国産ドローンの操縦が可能な技術の高いパイロットの需要が高まっており、国産機に特化した操縦・点検ライセンス創設の準備を進めている。即戦力となる人材育成を行うため、VRシミュレータの導入や、一般のスクールには無い国産ドローン実機を使用した専門的なカリキュラムも新設する予定である。また、VFRでは製造ラインやデモ現場での実務体験が可能なインターンシップや、就職先としての受け入れ態勢も構築するとしている。

 VFRと理経が開発したVRシミュレータは、国産ドローン「SOTEN」と同様のユーザインターフェースを再現し、バーチャル上での飛行訓練を可能にするSOTEN訓練トレーナーである。火事の現場など再現が困難な実務を模した環境での訓練が積めるため、実務ならではのヒヤリハットやトラブルの経験を得ることができる。SOTENと同様の機体性能やユーザインターフェースを再現しているため、カメラ撮影などもトレーナー内で訓練でき、課題となっている操縦経験の向上にも役立てられる。

 今後大阪を皮切りに全国展開し、ドローン関連コースを保有する専門学校での資格取得運用を目指すとしている。