2022年6月21日、エバーブルーテクノロジーズは、オーストラリア発の小型ヨット「Hansa」を提供するハンザ・セイリング・ジャパンと業務提携を行い、同機体に対応し無人で自動航行する帆船型ドローン「AST-231」を開発したことを発表した。注文生産となり、販売希望価格(参考価格)は税別600万円~(運送費、サポート、メンテナンス、クラウドサービス利用料は含まず)。

 誰でも乗れるようにというコンセプトで展開するHansaは、転覆しにくい安全なヨットとして親しまれている。子どもから高齢者、障がいを持つ人など、誰でも簡単に船を走らせることができる。

 帆船型ドローンAST-231は、Hansaと、エバーブルーテクノロジーズが提供する自動操船化ユニット「eb-NAVIGATOR2.0」、オリジナルスマホアプリ「eb-CONNECT」を組み合わせることで、操船者なしの自動航行船として利用できるようにしたモデルとなる。

 人件費や燃油代といったコストがかからないため、採算がとれなかったり継続できないといった課題のある用途での利用が検討できるほか、小型の魚群探知機や海洋調査機材などの計測機器を搭載しての水上・水中の長時間調査、物資運搬・輸送、水上パトロールなどの警備監視や移動手段など、さまざまなシーンでの活用を想定している。

「AST-231S プロトタイプ」

 AST-231は、モノハル(単胴船)のため復元力が安定しており、波浪が大きい場合でも沈しにくい構造となっているため安全性が高い。

 巻き取りできるソフトセールは、強風時にセール面積を狭めることで風速10m/s以上でも航行できる。風力のみで推進するため稼働時間が長く、10時間の連続航行が可能。最大積載量は120kg。有人・無人で航行し、さまざまな用途に対応する。オリジナルスマホアプリeb-CONNECTの自動操船機能を使って目的地をセットするだけで、誰でも簡単に操船することができる。

 導入の第1弾として、離島地域が抱える課題解決のため、ICTなどの新技術を離島地域に実装することを目的とした国土交通省がすすめる取り組み「令和4年度スマートアイランド推進実証調査業務」への参画、実証調査が決定している。
 人口減少や天候不順といった環境にも柔軟に対応できる持続可能な自然エネルギー活用や、高齢化する島社会での負担軽減、利便性向上を目的とした、自動航行ヨットを使用した島外からの物流、海上輸送(運搬)などの実証テストを行う予定である。

帆船型ドローン「AST-231 S/L」機体スペック・機能概要
※ カッコ内の数値は「AST-231L」のもの

船体形状帆船型ドローン/既存ディンギーベース
形状モノハル:ソフトセール
大きさ全長2.3m(3.03m)、全幅1.25m(1.35m)、全高4.2m(4.75m)
重量船体重量 約50kg(55kg)、装備重量 約90kg(100kg)
定員1名(2名)
ペイロード120kg(160kg)
巡航速度4km/h
航続距離40km
モーター航行時間N/A
セール航行時間約10時間
安全性能・人に危害を加えにくいプロペラ完全内蔵、突起物がない船体
・転覆しても自動復元する船体構造
オプション衝突軽減フェンダー(浮き)


自動操船ユニット「eb-NAVIGATOR2.0 hansaコラボモデル」機能概要

GPS、RTK GNSS対応 誤差1m以下(最小 数センチメートル)
衝突防止AIカメラ搭載
オプション:風向風速センサー、ソナー
通信方法 4G/LTE/3G 商用携帯回線
完全防水
大きさ:直径30cm
給電方法:USBモバイルバッテリー
Hansa対応耐衝撃構造
Hansa専用サーボモーター
オプション:2.4GHz 送受信機
操作方法:iPhone用オリジナルアプリ「eb-CONNECT」

iPhoneアプリ「eb-CONNECT」機能概要

ユーザーログイン機能
テレメトリー機能:地図表示、位置表示、GPS数、傾き/ソナー表示(オプション)/遠隔カメラ表示(オプション)
マニュアル操縦機能
経由地(ウェイポイント)設定、自動操縦機能:最大100点設定可能/履歴呼び出し機能/経由地速度設定/経由地半径設定
RTL(Return to Launch)機能
位置保持(Loiter)機能
音声起動「カムヒア」機能:アプリを起動しているiPhoneの現在地を目的地にセット、自動操縦に切り替えるバッチ機能
サークルフェンス設定:ホーム位置から設定した距離以上へ出た場合は自動停止する安全機能