2022年2月2日、エバーブルーテクノロジーズは、全長2mの無人帆船型ドローン「everblue AST-201」を新たに企画開発したことを発表した。無人調査、小型貨物運搬の遠隔・自動航行が可能な製品として市場導入に向けた試験運用、トライアル販売を開始する。販売希望価格は500万円(税別)。

 同日より新宿伊勢丹メンズ館にて開催される三越伊勢丹とbouncyとのコラボ企画「bouncy Store」に参加し、AST-201の1/2スケールサンプルモデル(木製)を展示、先行予約を開始する。

1/2スケールサンプルモデル(木製)イメージ画像

 同社では、これまでに無人調査用「Type-Aプロトタイプ」や、100kg以上の貨物積載が可能な無人貨物運搬用「Type-Xプロトタイプ」を開発し、さまざまな実証テストを重ねてきた。これにより培った無人帆走技術を適用し、今回本格的な実用モデルとしてAST-201を開発した。

 AST-201は、モノハル(単胴船)としたことで復元力を増し、波浪が大きい場合でも沈みにくい構造で安全性を高めている。また「衝突予防安全装置」を備え、周囲を監視、衝突回避を行う(システムは補助であり、海況などによって作動しない場合もある)。

 エバーブルーテクノロジーズが共通基盤サービスとして提供するオリジナルスマホアプリ「eb-CONNECT」の自動操船機能により、目的地をセットするだけで簡単に操船することができる。

 基本は風力を使った帆走で、風が弱い場合や離着岸で補助動力としてモーターを使用する。人件費や燃油代といったコストがかからないため、これまで採算がとれず実現できなかった水上パトロール用途での活用も期待される。

 最大18kgの装備を積載可能で、小型の魚群探知機や海洋調査機材などの計測機器を搭載し、無人で水上・水中の長時間調査が行える。

 想定される活用ケースは、静粛性を生かした水上・水中撮影や無人による魚群探索、夜間航行、海洋調査、救難・捜索活動支援、洋上巡回・周囲監視などがある。

 遭難者の捜索や長時間に渡る海洋調査では、風力をダイレクトに推進力にかえられるため、夜間・広範囲かつ長時間行うことができる。現状で連続8時間、今後大容量バッテリーや太陽光発電の併用などで24時間以上の稼働時間を目指すとしている。
 沿岸部の海洋調査において昼間は他船舶や舟艇の往来が多く自由に移動することが難しいが、夜間であれば他船はほとんどないため、安全に長時間調査活動を行うことができる。大きな帆をライトアップすることで被視認性は高くなり、航行速度も低速なため他船からの発見回避も容易である。

 またバーチャルアンカリング(自動で位置を保持する機能)による洋上待機が可能。洋上巡回・周囲監視などにおいて、航路を夕方に設定し、自動で夜間航行、明るくなってから回収というワークフローにも対応する。

夜間パトロール実験時の「Type-Aプロトタイプ」