2022年6月20日、エバーブルーテクノロジーズは、小型ヨットや小型ボート、既存船外機を自動操船化するユニット「eb-NAVIGATOR 2.0」を開発し、予約受付を開始したことを発表した。遠隔から自動操船するコントローラーと通信部分をユニット化した製品となる。

 誰でも簡単に舟艇を無人・自動化することが可能になり、小型の魚群探知機や海洋調査機材などの計測機器を搭載して水上・水中を⻑時間調査したり、人件費や燃油代といったコストをかけずに水上パトロールや運搬、輸送、移動手段とすることを想定している。

自動操船化ユニット「eb-NAVIGATOR 2.0」

自動操船化ユニット「eb-NAVIGATOR 2.0」

 同製品は風速・風向・障害物センサーを一体化し、防水ケースと組み合わせた全天候型制御ユニットで、ラダー、推進器、セールウインチの制御信号を出力する。制御信号を変換、電動モーターを制御することで、ディンギーヨットをはじめ、船外機や小型ボートといった動力船まで簡単に自動操船化する。オリジナルスマートフォンアプリ「eb-CONNECT」による遠隔操作やプログラム設定による無人自動航行が可能となる。

 また、オプション製品として自律帆走化ユニットもリリースする。電動制御セール・ラダーを組み合わせることでボートなどを帆船型ドローンにするキットで、これを組み合わせることで既存の小型ボートなどを風力をベースにしたサスティナブルな水上ドローンにできる。

自動操船化ユニット「eb-NAVIGATOR2.0」

<eb-NAVIGATOR2.0 機能概要>
GPS、RTK GNSS対応、誤差1m以下(最小数センチメートル)
衝突防止AIカメラ搭載
オプション:風向風速センサー、ソナー
通信方法:4G/LTE/3G 商用携帯回線
完全防水
大きさ:直径30cm
給電方法:USBモバイルバッテリー
操作方法:iPhone用オリジナルアプリ「eb-CONNECT」

iPhoneアプリ「eb-CONNECT」

iPhoneアプリ「eb-CONNECT」

 独自に開発したiPhoneアプリ「everblue CONNECT」は、クラウドサーバーと連携し、一般的な携帯電話回線である4G/LTE/3Gサービスエリア内にユーザーと水上ドローンが所在していれば、世界中どこからでもリアルタイムで状況を把握できる。プログラムによる自動帆走、遠隔操船も可能。自動操船ヨットが通信サービスのエリア外になっても自動操船は継続される。1タップで目的地をセットし、合計4タップで自動操船を開始可能とする、シンプルなUIのスマートフォンアプリである。
 これにより、専門的知識が必要なプロポ(無線操縦用送信機)や操作が難しい専用のパソコンアプリを不要とし、誰でも簡単に練習せずに遠隔から水上ドローンを操作することができる。

<eb-CONNECT 機能概要>
ユーザーログイン機能
テレメトリー機能
 地図表示、位置表示、GPS数、傾き/ソナー表示(オプション)/遠隔カメラ(オプション)
マニュアル操縦機能
経由地(ウェイポイント)設定、自動操縦機能
 最大100点以上の設定が可能/履歴呼び出し機能/経由地速度設定/経由地半径設定
RTL(Return to Launch)機能
位置保持(Loiter)機能
音声起動「カムヒア」機能(アプリを起動しているiPhoneの現在地を目的地にセット、自動操縦に切り替えるバッチ機能)
サークルフェンス設定
 ホーム位置から設定した距離以上へ出た場合は自動停止する安全機能

「eb-CONNECT-2」

自律帆走化ユニットオプション

 自律帆走化ユニットは、eb-NAVIGATOR 2.0と組み合わせることで、全長3m以下のミニボートの自動航行、遠隔操縦を可能とする。
 日本ではあまり使われず放置された船舶(放置艇)が数多くあるが、燃油代がかからず操船の手間を軽減、無人化できる自動操船ユニットと自律帆走化ユニットは、コストをかけずに放置艇を再活用し、同時に廃船を減らすことで持続可能な社会へ貢献するという。

 風力をダイレクトに推進力に変える帆走は、排出ガスやエネルギーコストはゼロであるが、見えない風を感じて操船するためには⻑年の経験とセンスが必要となり、誰でもすぐに習得できるものではないことなどが、帆船の活用用途を狭める要因の一つと考えられる。同社が開発する自動帆走技術により、目的地を設定するだけで特別な技術や経験がなくとも、陸や離れた場所から帆船の自動帆走を実現する。

「自律帆走化オプション」