2022年6月21日、エバーブルーテクノロジーズは、無人で自動航行し水難救助支援や水上伴走を行う水上ドローン「AST-181」を開発、販売することを発表した。トーイング用大型ラジコンボート「E-towing」を提供するON’S COMPANYとの業務提携により実現したもので、販売希望価格(参考価格)は税別360万円。

 同社では、海や川などにおける水難救助を目的としたソリューションとして、スマートフォンアプリなどのデバイスを使った救助要請の発信で、自動的に救命浮環を装備した水上ドローンが落水者まで航行し救難支援する実証モデル「浮環ロボ・プロトタイプ」を開発しており、本製品はその実用モデルとなる。

 音声起動のSOS機能で落水者の位置まで自律的に航行・停止し、その後RTL(Return to Launch)コマンドで岸まで牽引救助する。また、SUP、カヌー、カヤックなどの小型舟艇に伴走して荷物運搬や撮影を行ったり、フォイルサーフィンを牽引し自動で送り迎えさせるといったレジャー用途での活用も想定している。

海上実験動画

 落水はライフベストを装着していたとしても低体温症など別の要因で命を落とす危険性があり、速やかな救助が求められる。
 E-towingのコラボモデルAST-181は、スマホアプリから救難情報を送ると同時に、落水者の場所へ直接救命浮環を届けることで、迅速に救護活動を支援することを目的としている。落水者がスマホアプリなどのデバイスからSOSを発信すると、自動で浮環や救命いかだを牽引してくる。これを利用して救助を待ったり、安全な場所まで自動牽引することができる。海水浴場や港湾施設、埠頭などの沿岸部で不意な落水があった場合などにも自動で落水者の初期救護支援を行うため、施設管理者の負担を軽減する。

E-towingコラボモデル「AST-181」概要

 AST-181は、小型ヨットや小型ボート、既存船外機を自動操船化するユニット「eb-NAVIGATOR 2.0」のE-towingコラボモデルを、トーイング用大型ラジコンボートE-towingに装着連動させている。専用アプリ「eb-CONNECT」からマップ上に目的地設定することで遠隔操船できるほか、eb-CONNECTユーザーの後を追随させたり、呼び寄せたりすることができる。
 また、移動する小型舟艇から遠隔操作して伴走させたり、市販のアクションカメラを取り付けて自撮りしたりすることも可能だ。

E-towingコラボモデル「AST-181」

・カムヒア機能(SOS機能)
 落水者がAppleWatch(Siri)に救助を呼びかけることで、落水者の元へボートを急行させる。AST-181単独での最高速度は35km/h。救命浮環や救助ゴムボートを牽引しながら自動航行し、呼び出したユーザーの元まで近づくことが可能。潮で流された場合もGPSの位置情報が更新され追随する。

・遠隔操作
 陸地などにいる監視者が専用アプリeb-CONNECTで要救助者のもとへAST-181を急行させることができる。

・パワフル牽引航行
 大人1名が乗ったSUPボードや小型ゴムボートなどを牽引しての航行が可能。

E-towingの水上イメージ

トーイング用大型ラジコンボート「E-towing」機体スペック・機能概要

形状モノハル:セールN/A
大きさ全長1.8m、全幅0.7m、全高0.6m
重量船体重量57kg、装備重量90kg
速度最高速度35km/h、巡航速度15km/h以上(滑走時)
航続距離12km(最高速度時)
最大牽引力68kg(釣り用小型ボートのような一人乗りゴムボート程度)
稼働時間20分〜100分(使用状況による)
バッテリー48V 35A
推進方式電動水流ジェット×2機
安全性能・人に危害を加えにくいプロペラ完全内蔵、突起物がない船体
・転覆しても自動復元する船体構造
オプション衝突軽減フェンダー(浮き)


自動操船ユニット「eb-NAVIGATOR2.0 E-towing コラボモデル」機能概要

GPS、RTK GNSS対応 誤差1m以下(最小 数センチメートル)
衝突防止AIカメラ搭載
オプション:風向風速センサー、ソナー
通信方法 4G/LTE/3G 商用携帯回線
防水
大きさ:直径30cm
給電方法:USBモバイルバッテリー
E-towing対応耐衝撃構造
E-towing専用接続コネクタ
E-towing送受信機対応
操作方法:iPhone用オリジナルアプリ「eb-CONNECT」

iPhoneアプリ「eb-CONNECT」機能概要

ユーザーログイン機能
テレメトリー機能:地図表示、位置表示、GPS数、傾き/ソナー表示(オプション)/遠隔カメラ表示(オプション)
マニュアル操縦機能
経由地(ウェイポイント)設定、自動操縦機能:最大100点設定可能/履歴呼び出し機能/経由地速度設定/経由地半径設定
RTL(Return to Launch)機能
位置保持(Loiter)機能
音声起動「カムヒア」機能:アプリを起動しているiPhoneの現在地を目的地にセット、自動操縦に切り替えるバッチ機能
サークルフェンス設定:ホーム位置から設定した距離以上へ出た場合は自動停止する安全機能