2022年6月14日、エアロディベロップジャパンは、ハイブリッド動力システムの量産モデルを開発したことを発表した。同日より予約注文受付を開始する。

 これまでドローンは総重量25kg以下の小型機が主流で、空撮や測量、検査等に用いられてきた。近年は大型化しており、カメラのような軽量物を搭載した小型ドローンではなく、大きな荷物といった重量物を搭載して長時間飛行する大型ドローンの社会実装に期待が集まっている。海外においても中国、アメリカ、イギリス、イスラエル、オーストラリア等の各国で、大型ドローンや空飛ぶクルマの新興メーカーが誕生している。

 日本でも規制緩和によって大型ドローン・空飛ぶクルマの市場は拓かれようとしている。日本におけるドローンの規制は、主に「有人地帯上空の飛行可否」「操縦者目視外の飛行可否」の2点を中心にレベル1〜4まで定められている。ここ数年で規制緩和が進み、現在はレベル3(有人地帯の上空飛行不可、目視外飛行可)まで認められている。2021​​年6月に「航空法等の一部を改正する法律」が成立し、2022年12月の施行が決定しており、この法改正によってレベル4(有人地帯上空飛行可、目視外飛行可)が認められるようになり、都市部でも大型ドローンを用いた重量物輸送が進んでいくと見込まれる。

(国土交通省航空局の資料を参考にエアロディベロップジャパンが作成)

 日本を含めた世界各国で、大型ドローン・空飛ぶクルマの市場が立ちあがろうとしているが、実用化するには動力源の課題がある。小型ドローンに利用されてきたリチウムイオンバッテリーは、大型ドローンが長時間飛行するには単位重量あたり発電量(kWh/kg)が十分とはいえない。飛行時間を長くしようとするとペイロード(搭載重量)が小さくなり、ペイロードを大きくしようとすると飛行時間が短くなる。そのため、より単位重量あたり出力の大きい動力源開発が求められてきた。

 エアロディベロップジャパンでは、大型ドローン・空飛ぶクルマ向けに、ガスタービンと小型発電機を組み合わせたハイブリッド動力システム開発に取り組んできた。ガスタービンを高速回転(9〜10万rpm)させて発電機を駆動させるアプローチによって、単位重量あたり発電量を大きくすることができる。一般的なリチウムイオンバッテリーの単位重量当たり発電量が0.2〜0.25kWh/kg程度であるのに対し、ハイブリッド動力システムは1kWh/kgを超えることができると計算されている(同社試算)。

 2021年6月、同社はハイブリッド動力システム試作モデルの完成、および同システムを搭載した総重量80kgドローンの浮上試験に成功。試作モデルにはオーストリア製ガスタービンを用いたが、国内量産化および性能改善スピード向上を図り、2021年8月以降は独自設計の国産ガスタービンを用いたハイブリッド動力システム量産モデル(発電電力30kW、回転数9万rpm)の開発を進めてきた。そして2022年6月上旬、量産モデルは出力試験をクリアした。

 エアロディベロップジャパンは、2022年6月21日~23日に幕張メッセで開催される「Japan Drone 2022」において、ハイブリッド動力システム量産モデルや、出力試験時の様子を含めた映像を公開するとしている。