2022年5月11日、センシンロボティクスは、中部電力パワーグリッドと共同で、送電設備自動点検技術の大型鉄塔への適用拡大と、送電線(架空地線・電力線)を自動追尾する送電設備自動点検技術を開発したことを発表した。
 同技術をもとにソフトウェアを開発し、中部電力パワーグリッドが保有する送電設備の点検業務で運用する予定だ。

 両社はこれまで、飛行ルートおよび撮影アクションを自動生成し、ドローンを活用した送電設備自動点検に特化した技術を確立してきた。今回、送電線自動追尾機能を追加したことで、自動点検飛行中の機体やカメラ操作が不要となり,ドローンの知識を持たない作業員でもより簡単に送電線点検業務を実施することが可能になる。

 同技術は、これまで専用のセンサーを使用するなど実験的な側面が強かった自動飛行を、一般的なドローンを使って実用レベルとするもので、送電設備の点検業務の効率化が期待される。また、超高圧送電線路など大型設備の点検にも対応可能となり、より点検範囲が広がる。

大型送電設備の自動点検飛行

 標準的な送電設備だけでなく、大型の送電設備(超高圧送電線路等)でも自動点検飛行が可能になった。
 センシンロボティクスが保有する業務自動化プラットフォーム「SENSYN CORE」と、中部電力パワーグリッドの送電設備点検ノウハウを用いて共同開発した送電設備自動点検技術を組み合わせることで、鉄塔(支持物・がいし)と送電線(架空地線・電力線)を一括で自動点検する。
 また、単導体送電線だけでなく多導体送電線も点検できるようになり、送電線点検業務の効率化が見込まれる。

多導体送電線

送電線を自動検知し、高精細な映像を取得

 送電線(架空地線・電力線)を、安全な離隔を保った上で点検に必要な解像度の画像を撮影するには、高度なドローン操縦・カメラ操作技術が必要とされてきた。両社はこれまでにも、送電線のたるみに沿った飛行ルートおよびカメラアクションを自動生成する技術を確立してきたが、今回、送電線自動追尾機能を追加したことで、操縦者の技能に関わらず高い精度で安全に送電設備点検業務を行えるようになった。
 一般的に市販されている汎用的な機体・カメラを用いるため、メーカーや機種に依存しない柔軟な運用が可能となる。