山形県西川町とJapan Innovation Challengeは、ドローンによる夜間捜索支援サービス「NIGHT HAWKS」の調印式および遭難救助支援のデモンストレーションを、2022年4月11日に開催した。5月1日よりサービス提供を開始する。

 同サービスではドローンを活用し、一般的には二次災害の恐れがあり捜索の行われない日没後に上空から赤外線撮影を行うことで、遭難者の早期発見につなげる。

(左から)Japan Innovation Challenge 捜索本部本部長 古舘裕三氏、Japan Innovation Challenge 代表理事 上村龍文氏、西川町長 小川一博氏、西川町消防団長 佐藤重三氏、山形県寒河江警察署長 小川広治氏、西村山広域行政事務組合 消防本部 消防署西川分署長 設楽哲也氏

 日本百名山のひとつである月山のふもとに位置する西川町は、磐梯朝日国立公園に指定される朝日連峰を有しており、町の総面積のほとんどが森林で占められている。春から秋にかけて高山植物の観察やトレッキング、山菜取りなどのアウトドアレジャーが楽しまれ、コロナ禍において密にならないことから人気が高まっているという。
「春山シーズンを前に万が一の遭難や負傷への備えをしっかりとしておくことで、一人でも多くの町民や観光客が安心して楽しめる環境を整えたい」という町側の意向により、今回の締結に至った。

西川町民スキー場でのデモフライトの様子

 同サービスはドローンを使った山岳遭難における捜索支援を目的とし、下記の支援を実施する。

1. 遭難発生時、現地遭難対策本部等からの支援要請を24時間365日対応で受付。
2. 遭難場所、遭難状況などから適切なドローンスペシャリストを現地に派遣。
3. 現地遭難対策本部等の指揮・命令の下で以下を実施。
(1)撮影:ドローンの赤外線カメラを用いた撮影・データ解析・報告。
(2)捜索支援:ドローンの照明を用いた捜索隊の誘導等。
4. 自治体、消防等に向けた報告書の作成・報告。
5. 捜索支援に必要なドローン、カメラ等の必要な機材・ソフトウェア・手順を標準システムとして整備。
※サービス提供期間は2022年11月30日までを予定。

 24時間対応可能な受付窓口を用意しており、自治体や遭難対策本部を通じてサービスの窓口へ支援要請が入ると、事故の発生地域や環境に応じて適切なドローンスペシャリスト(地域担当)に出動を要請。ドローンスペシャリストは標準システム(機材、ソフトウェア、手順等)を携えて現地に向かい、遭難対策本部と協議のうえ、本部の指示に従い捜索支援を実行する。なお標準システムは地域に常備し、運用・訓練、保守・点検を含むため捜索支援時に最適な状態で使用できるよう維持・管理される。

NIGHT HAWKSのフロー