2021年10月12日、Japan Innovation Challengeは岩手県気仙郡住田(すみた)町において、ドローンによる夜間捜索支援サービス「NIGHT HAWKS」の提供を10月15日より開始すると発表した。

 このサービスではドローンを活用し、一般的には二次災害の恐れから捜索が行われない日没後に上空から赤外線撮影を行うことで、遭難者の早期発見、救命に貢献することを目指す。

 岩手県・北上高地にある住田町では、恵まれた自然環境のなか、山菜やキノコ採り、渓流釣りをはじめとしたアウトドアレジャーを楽しむことができる。「万が一の遭難や負傷への備えをしっかりとしておくことで、救助を待つ家族の心境に配慮したい」という町側の意向により、ドローンによる夜間捜索支援サービスの協定締結に至った。

 NIGHT HAWKSは、遭難発生時における自治体からの支援要請を24時間対応で受付。遭難場所、遭難状況などから適切なドローンスペシャリストを現地に派遣し、現地捜索本部の指揮・命令のもとで、ドローンによる夜間撮影・データ解析・報告を行う。また、ドローンに搭載した照明を用いて捜索隊の誘導等も行う。
 サービスの提供期間は5月~11月末を予定している。現地での支援は、遭難発生から72時間を限度に、日没〜日の出までの時間帯に実施する。

 Japan Innovation Challengeは今後、住田町内で定期的なドローンの飛行訓練を行い、情勢を見ながら消防や警察との合同訓練なども実施してスムーズな捜索支援に向けて担当機関と連携する、としている。

サービス内容

 ドローンを使った遭難における捜索支援を目的とし、下記を実施する。

1. 遭難発生時、協定締結自治体からの支援要請を24時間対応で受付
2. 遭難場所、遭難状況などから適切なドローンスペシャリストを現地に派遣
3. 現地捜索本部の指揮・命令の下で以下を実施
(1)撮影:ドローンの赤外線カメラを用いた夜間での撮影・データ解析・報告
(2)捜索支援:ドローンに搭載した照明を用いた夜間での捜索隊の誘導等
4. 報告書の作成・報告
5. 捜索支援に必要なドローン、カメラ等の必要な機材・ソフトウェア・手順をNIGHT HAWKS 標準システムとして整備

制限事項
サービス提供期間は5月~11月末を予定。
支援要請があっても、要員調整等の都合によりドローンスペシャリストを派遣できない場合がある。
大雪や豪雨、強風などの気象条件や遭難発生現場の地形等の条件により支援ができない場合がある。
現地での支援は遭難発生から72時間を限度に、日没~日の出までの時間帯で行う。具体的なフライト回数、フライトプラン等は、支援開始前に現地捜索本部の担当者と協議の上取り決める。
現地捜索本部の指揮・命令のもとで、ドローンによる夜間撮影・データ解析・報告を行う。
遭難者の発見は責任範囲としない。

NIGHT HAWKS 標準システム

 最新のドローン機材や高性能サーモカメラ、撮影データを解析するAIシステムや山の高低差にも対応する自動航行ルート作成システム等、捜索支援に必要な機材やソフトウェア、手順を「NIGHT HAWKS 標準システム」として常備している。NIGHT HAWKS 標準システムには、運用・訓練、保守・点検を含み、捜索支援時に最適な状態で使用できるよう維持・管理がなされている。

ドローン撮影データ イメージ
捜索支援イメージ

※画像は北海道上士幌町での様子