2022年3月24日、古河電池は、高精度残量計および高出力・高容量を備えた高いエネルギー密度の電池を開発したことを発表した。2022年夏頃より順次サンプルを提供し、2023年度中の製品化を目指すとしている。

 この成果は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施する「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト(DRESSプロジェクト)」の助成事業において得られたもの。

 DRESSプロジェクトでは、物流、インフラ点検、災害対応等の分野で活用できる無人航空機およびロボットの開発を促進するとともに、社会実装するためのシステム構築および飛行試験等を実施している。

 同社は「高効率エネルギーマネジメントのための高精度残量計及び高エネルギー密度電池の開発」をテーマに、リチウムイオン二次電池の知識と技術を生かして、ドローンの高効率なエネルギーマネジメントに必要となる電池の高精度残量計の開発と、ドローンの飛行距離に直結する高出力・高容量な電池パックの開発を行った。
 なお、このテーマでは3つの目標を設定しており、マクセルから2つの目標を引き継いで古河電池が開発している。

 同社は2022年2月、開発したインテリジェントリチウムイオン電池をドローン実機へ搭載し、飛行試験を実施。今回開発した電池が開発目標を達成できていることを確認している。

開発製品の概要

 ドローン用として必須となる出力特性(セル連続放電5C以上)を維持したままエネルギー密度を向上させるため、主に充電電圧の高電圧化と内部抵抗低減を図り、重さあたりのエネルギー量を20%増加させた。この成果はドローンの飛行時間に直結し、現行品と比較して飛行時間の20%増加につながる。

開発品の仕様

項目現行品開発品
セル公称容量9.8Ah11.0Ah
セル質量172g167g
セルエネルギー密度211Wh/kg255Wh/kg
セル最大出力密度1250W/kg1600W/kg
項目現行品開発品
動作電圧範囲36〜50.4V36〜53.4V
公称電圧44.4V46.3V
公称容量435Wh(9.8Ah)510Wh(11.0Ah)
連続最大出力1400W1700W
パック重量約2.6Kg同等
パックエネルギー密度167Wh/kg200Wh/kg