2022年3月23日、Vicorは、フカデンの開発・製造するドローン向け有線給電ユニットに「DC-DCコンバータ DCMシリーズ」が採用されたことを発表した。
通信基地局の機能を搭載したドローンへ電力供給する有線給電ユニットは、災害時の通信サービスの早期復旧などに用いられる。電力供給が途絶えた場合でも、ポーダブル発電機を用いてドローン基地局から電力を供給できるため、災害時の初期対応として素早く通信サービスを回復する。
フカデンは通信事業者と共同で、飛行中のドローンにケーブルで電力を供給する電源装置であるドローン向け有線給電ユニット「電源制御BOX II メイン電源ユニット」の実証テストを実施した。この電源ユニットは最大150mの長さのケーブルに対応し、最大1kWの電力を送電可能。3台並列に接続すると最大3kWの電力を送電できる。このユニットを用いて無線通信基地局を載せたドローンを地上約100mの上空にホバリングさせることで、直径10kmエリアに通信サービスを提供できるという。
高電圧給電により送電ケーブルを軽量化
有線ドローンのデメリットとして、ケーブルの太さと重量が挙げられる。ケーブルが太いと重量が増え、より多くの電力を必要とする。そのためセンサーや周辺機器、高解像度ビデオカメラなどの搭載が制限される。
フカデンの有線給電システムを利用したドローンには、1kW〜5kWの電力が供給されるが、給電電圧を従来のDC24VからDC370Vに上げることで、供給電流を約15分の1に低減。1kWの送電用ケーブルの重量は1メートルあたり125gから11.1gとなり、ケーブルの重さを約11分の1に軽量化した。
DC370Vの高電圧給電では、負荷に合わせて降圧するためのDC-DCコンバータ・モジュールをドローンに搭載する必要がある。DC370VをDC24Vに降圧するDC-DCコンバータにより、モーター駆動などのための24V電源バスに給電する。
絶縁型DC-DCコンバータ・モジュールとなるVicorのDCMシリーズは、高周波ゼロ電圧スイッチング(ZVS)技術を採用しており、変換効率と出力電力密度が高いという特徴を持つ。一般的なDC-DCコンバータ・モジュールと比べて小型で軽いため、体積を約1/4、重量を1/2以下に抑えることができた。