2020年6月4日(米国東部)、Vicorは、自律飛行ドローン、モバイルロボティクス、完全自律型の水中ロボットなどのロボティクスデバイスに搭載されたバッテリーの充電システムを開発しているWiBoticと協業したことを発表した。Vicorの高効率電源モジュールを用いて発熱の制約がなくなったことで、あらゆるバッテリー駆動ロボットと充電ステーションに対応できる、ワイヤレスチャージャー送信機の実現につながったという。

 ロボットによる配送や点検のシステム構築が進むにつれ、効率が良く柔軟な充電ソリューションの要望が高まっている。充電のため常に人員を配置して、手動で物理的にロボットを接続する作業は減ってきた。現在は自律性の強化が課題であり、WiBoticの技術により人の介入をなくすことが可能である。

WiBoticのワイヤレス充電ソリューション

WiBoticが提供する、次世代の自律型ロボットのためのダイナミックなワイヤレス充電ソリューション

 米国ワシントン州シアトルのWiBoticは、急速に成長する航空、輸送、船舶、産業用ロボット業界に必要なワイヤレス充電と電力最適化のソリューションを提供している。さまざまな充電方法のロボットや無人搬送車両(UV)をワイヤレス充電ステーションで充電できるため、作業者が物理的にロボットを充電器に接続する必要がなくなった。さらに、ワイヤレス充電にすることで、接点の消耗がなくなり、電源コードや床に設置された充電ステーションにつまずく危険もなく、専用の充電スペースも不要となった。

 WiBoticのワイヤレス充電ソリューションは「多対多(many-to-many)」の運用が容易になるよう設計されており、複数のロボット(異なるメーカーのロボットを含む)を同じ送信機で充電できる。ロボットは、倉庫内のさまざまな場所にある送信機ネットワークの間を充電しながら移動することもできる。つまり、ロボットのバッテリーの種類、電圧、充電電流が異なっていても、すべての充電ステーションで充電が可能である。

Vicor ゼロ電圧スイッチング(ZVS)レギュレータにより実現したワイヤレス充電イノベーション

VicorはWiboticの低出力ワイヤレス充電開発キットにPRMを供給している

 Vicorの48V VI Chip® PRM昇降圧レギュレータは、入力電圧36~75V、出力電力400Wの高効率DC-DCコンバータである。WiBoticのワイヤレス充電ステーションTR-110に搭載されている適応型の送信機はPRMにより給電されており、そこからワイヤレスで、ロボットやドローンのオンボード受信機に電力が送られる。PRMはAC-DC電源から48Vを受け、出力電圧が20~55Vの間で適応制御される。

 VicorのPRMを用いると、送受信コイルの距離や位置によって変化するインピーダンスの全範囲にわたって高効率の電力変換が可能であり、「フル充電」モードでも、低電力レベルの「トリクル充電」モードでも、効率の大幅な低下がない。また、高効率の電圧変換が可能になり、発熱を制限してデバイスの温度を40~45℃以下に抑えるために必要だった電力の制限がなくなった。

 WiBoticの提供する充電ソリューションにより、手作業の充電プロセスがなくなり、バッテリー切れの心配がない、次世代の機能と生産性をもったロボットが実現する。

▼WiBoticのワイヤレス充電アプリケーションについて(Vicor)
http://www.vicorpower.com/ja-jp/resource-library/case-studies/wibotic.html

WiBoticについて

 WiBoticは、急速に成長している航空、輸送、海洋ロボットの充電システム向けに、ワイヤレス充電と電力最適化のソリューションを提供している。ロボット車両の稼働時間を最適化するためのソリューションであり、完全自律型ロボットには不可欠である。WiBoticは2015年に設立され、ワシントン州シアトルを拠点にさまざまな業界の企業と協業している。https://www.wibotic.com/

Vicor Corporationについて

 Vicorは、高性能モジュール型電源コンポーネントの設計、製造、販売を行う米国(本社:マサチューセッツ州アンドーバー)の電源専業メーカーである。HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)、オートモーティブ、通信ネットワーク、産業機器、ロボティクス、鉄道、航空防衛アプリケーションなどへ向けて、広く事業展開している。
 日本法人のVicor株式会社(Vicor KK)は2017年に設立され、電源コンポーネントの販売・技術サポートを行っている。http://www.vicorpower.com/ja-jp