2022年3月16日、DRONE FUNDは3号ファンド(DRONE FUND3号投資事業有限責任組合)の資金調達を105億円でクローズしたことを発表した。

 今回組成を行った3号ファンドでは、政府系機関、事業会社18社、個人投資家から合計105.19億円を調達。ドローンやエアモビリティなど新しいテクノロジーの社会実装を加速させるため、機体やサービス、関連技術など、産業エコシステムの形成を進めるとしている。

 新しい産業を構築するためには、技術開発や事業開発、制度設計、人材育成などを包括的に進めていく必要があるため、日本の産業セクターを代表する企業と連携することで、機体の大量生産やサービス体制の構築を進めていく。

 3号ファンドはすでに9社への投資を実行しており、1号ファンド、2号ファンドと合わせた投資先の合計は54社となる。

 同社はドローン・エアモビリティ分野を中心にスタートアップへ投資・支援を行うことで、グローバルな産業エコシステムの形成と社会的な課題の解決を目指すとしている。

 DRONE FUNDは2017年6月、ドローン・スタートアップに特化した専門ファンドとして活動を開始。ドローン前提社会の実現に向けて、国内外のスタートアップへの投資・支援活動を行ってきた。1号ファンド(調達:16億円)の投資先の1つであるACSLは、2018年12月に東証マザーズに上場を果たした。
 2019年5月に設立した2号ファンド(調達:52億円)では無人航空機に加え、空飛ぶクルマや海洋ロボットへの投資・支援活動を推進してきた。現在日本では、2025年の大阪・関西万博に向けた空飛ぶクルマの実装への機運が高まっており、デジタル田園都市国家構想を実現するモビリティとしても期待されている。また水中ドローンは、海洋インフラの整備に向けて重要度が増してきている。

 また同社では、人口構造の変化や気候変動、インフラ老朽化、大規模災害、新型感染症といった課題の解決に向けて、社会システムの再構築や新しいテクノロジーの実装を進める必要があるとして、社会を変革できる可能性を持つスタートアップにESG投資の視点から支援を行うことで、SDGs(持続可能な開発目標)の実現を目指すとしている。

関係者コメント

代表パートナー 千葉功太郎氏

 ドローンレベル4解禁となる2022年に、政府系機関、国内を代表する企業の皆様にLPとしてご参画いただき、3号ファンドのファイナルクローズを発表できることを非常にうれしく思っております。

 2017年に活動を開始したDRONE FUNDは2022年6月で5周年を迎えます。活動初期はドローン、エアモビリティ専業ファンドに対する懐疑的な見方もありましたが、現在は世界でドローン・エアモビリティ産業を代表するベンチャーキャピタルの地位を確立することができました。

 その結果として、投資先、LPの皆様、官公庁、自治体、教育機関の方々などドローン・エアモビリティ前提社会実現を目指す多くの仲間に恵まれ、この度活動を加速していくスタート地点に立てたと思っております。

 有望なドローン企業への積極的な投資はもちろん、ドローン・エアモビリティ前提社会を支える周辺技術への積極的な投資を進めていきたいと思っております。今後ともDRONE FUNDファミリーをよろしくお願いいたします。

代表パートナー 大前創希氏

 ドローン・エアモビリティはいよいよ社会実装フェーズに入りました。私どもDRONE FUNDは今回の3号ファンドの調達を通じて、多くの方々から「ドローンを活用していきたい」という声を頂きました。結果として目標としていた100億を超える資金をご出資頂き、産業を共に創っていく心強い支援を多数頂くに至りました。

 この数年は世界全体が大きな苦難の時期を歩み、さらに世界情勢は不安定さを増している今日ですが、世界の平和と人類の発展のために、今後もドローン・エアモビリティ前提社会の実現に向けてスタートアップを力強く支援し続けます。