2022年1月20日、DRONE FUNDはAP TECHへ、DRONE FUND3号投資事業有限責任組合(3号ファンド)からの出資を実行したことを発表した。

 AP TECHは、データ通信量を抑えながら携帯電話圏外も含めたシームレスなデータ通信を可能とする独自の通信技術を強みとする。同技術は、携帯電話圏外エリアを含む山間部等や離島地域における災害対策や買い物難民向けのドローン配送など、ドローンの活用を広げる可能性を有しているという。

 この技術を応用して同社では、Apple WatchやiPhoneを活用した見守りサービス「Hachi」を通じて、高齢者の見守り、屋外業務の安全管理、新型コロナウイルスの陽性患者モニタリングなどのサービスを提供している。また、都市部と地方それぞれにおける急速な環境変化に対するIT技術による課題解決の必要性に対し、「エコなDX」としてドローン事業を含めた広い領域において実サービスの形で最適解を示すことを指針に掲げている。

 AP TECHの代表取締役である大西氏は、Apple、Cisco Systemsなど米国IT企業に約30年の勤務経験があり、データ通信技術に精通し、アプリケーションの開発能力を有している。また、医師や総務省出身者などユニークで専門性の高いチームにより、研究開発や事業開発に取り組んでいる。

 本社のある岩手県八幡市をはじめとした地方自治体との産学官連携プロジェクトでは、遠隔診療・遠隔見守りの地域実装やバイタルデータを活用した発症リスク予測AI構想、ドローン事業の実証実験が進んでいる。

 ドローン通信において、電波の弱いエリアで位置情報・画像情報が遮断されるという課題を、AP TECHが有するデータ通信技術に係る独自技術により解決し、ドローンやエアモビリティの安心安全な運航が実現すること、また、DRONE FUNDの投資先とのシナジー形成によりドローンの利活用の場が拡大することが期待されるため、今回の投資を決定したという。

関係者コメント

AP TECH 代表取締役 大西一朗氏

 当社は、アプリケーションの企画開発およびデータ送受信に係る技術開発、DXコンサルティングを行う企業として、Apple Watchを活用した遠隔モニタリングアプリ「Hachi」を開発し、本社を置く岩手県八幡平市での「八幡平市メディテックバレープロジェクト」をはじめとする地域医療の現場において、遠隔診療×遠隔見守りの実装を進めてまいりました。

 今回の資金調達を受け、創業当初からの「IT技術で、ヘルスケアにイノベーションを起こす」という決意はそのままに、独自技術を生かして「ヘルスケア領域に留まらない、未来志向のDXイノベーションへ邁進する」という方針を掲げ、ドローン事業をはじめとした、より広い事業領域を視野に入れた事業を展開してまいります。


DRONE FUND 共同代表 千葉功太郎氏

 いよいよ本年には政府目標として掲げられている“レベル4”の解禁となり、日本のドローン産業は大きな節目を迎えることになります。その中で安全性や信頼性に対する技術的な要求はますます高まってきており、AP TECH社の有するデータ通信技術に係る独自技術は、ドローンの継続運航における信頼度を高める可能性を秘めていると考えております。DRONE FUNDは、ドローンの社会実装に向けて、全方面からAP TECHを支援して参ります。