2020年12月8日、テラドローンのグループ会社Terra Inspectioneering(本社:オランダ)が、大手総合化学メーカーであるBASF(本社:ドイツ)に対し、UTドローンによる発電所ボイラーの点検を実施したことを発表した。欧州では化学プラント内の発電設備の定期点検が義務化されており、引き続き同社の設備点検を実施していく予定である。

BASFプラントの様子

 UTドローンをボイラー点検に活用することにより、足場設置にかかる数百万から数千万円のコスト削減、40時間以上の時間短縮が見込まれる。さらに、高所での作業、点検時における職員の有害物質摂取、新型コロナウイルスの感染対策として人の接触等を抑制・防止することで、健康被害のリスクを最小限に抑える。

 UTドローンは、発電所でのボイラー点検に加え焼却炉の水管点検にも利用が可能である。焼却炉数は、アメリカが約300基なのに対し、日本は1,000基以上の焼却炉数を保有している。このことから同社は、UTドローンによって焼却炉点検を効率化することで有益な経済効果をもたらすことを目指しているという。

Terra Inspectioneering社製のUTドローン

参考:UTドローンが屋外で板厚検査を実施する様子

※今回実施した点検ではなく、他のプラントでの点検時の様子

Terra Inspectioneering

 2016年5月13日に、RoNik Inspectioneeringとしてスタート。板厚検査を含むオイル・ガス系貯蔵タンクの点検・メンテナンスを中心としたサービスを提供しており、欧州の大手オイル&ガス会社を中心に200件以上の実績をもつ。2019年にテラドローンが出資を完了させ、Terra Inspectioneeringに社名を変更。
 現在は、独自のUTドローンを用いたタンクの壁厚点検に注力している。ドローンを使った肉厚測定技術も開発し、特許を取得。目視検査や熱検査も行う。ドローンで収集した検査データは、クラウド上の検査対象物の3Dモデルを介して共有され、クライアントがアクセス可能なシステムを構築している。