2021年12月9日、センシンロボティクスとサンフロンティア不動産は、デジタルトランスフォーメーション(DX)に関する資本業務提携後の共同プロジェクトとして、ドローンによる壁面点検を効率化するソフトウェアの開発に着手したことを発表した。

 2022年度中にドローン操縦が免許制になることで、ドローン点検市場が大きく拡がることが予想されている。両社は、今後多くの事業者がドローン建物調査に参入し、ドローン壁面点検が当たり前になっていく事を見据え、同ソフトウェアの2022年4月以降の外部販売を検討しており、現在サービスインに向けたマーケティングを実施している。

開発中の壁面点検ソフトウェア画面

 昨今、足場やゴンドラによらない新たな点検方法として、建物所有者などがドローンを採用する場面が増えている。ドローンによる壁面点検は、従来の調査方法と比較して安価で施設利用者の負担を軽減できる一方、点検後に撮影した膨大な画像データの異常個所判定や撮影部位の特定、異常部の解析、報告書の作成には時間を要する。報告書の作成がボトルネックとなり、事業参入を断念するケースも少なくないという。

 そうした中、サンフロンティア不動産は自社物件を中心としたドローンによる壁面撮影に取り組んでいる。外壁タイルや吹付モルタル等の壁面を順次撮影することで壁面データを蓄積し、センシンロボティクスと共同で異常箇所(タイルクラック、エフロレッセンス、タイル欠け等)のディープラーニングを行って、異常個所を自動判別できるAIの生成と調査報告書自動化ソフトの開発を進める。将来的にはクラックの幅についても検知できるレベルを目指すとしている。

開発中の壁面点検ソフトウェア画面

 撮影後の建物調査報告書作成フェーズでは、クライアントの調査目的や要望によって仕様はさまざまだが、大型建築物の大規模修繕工事における調査のケースでは報告書が数百ページに及ぶものもあり、目検や手作業に膨大な工数がかかることがあるという。これらの作業を軽減するため、AIによる自動判別で作業項目の削減と物件フォルダの管理、クラウド上での図面保管等を一気通貫で行えるソフトウェアを開発し、作業項目の60%削減を目指す。将来的にはAIの精度を向上させ、さらなる作業項目を削減したい方針だ。