2021年12月1日、ロボデックスは、水素燃料電池ドローンに搭載する高圧水素用複合容器の経済産業大臣の特別認可(以下、大臣特認)と、国土交通省航空局の飛行許可を取得して試験飛行を実施し、成功したことを発表した。

水素燃料電池ドローン
試験飛行の様子(左)、報道関係者へ公開する様子(右)

 水素燃料電池ドローンには水素貯蔵用の高圧ガス容器が搭載されることから、一定高度以上での飛行を行うためには万が一落下した場合に備えた安全対策を講じるとともに、高圧ガス保安協会の特定案件事前評価と大臣特認が必要となる。

 同社は帝人エンジニアリングと協力し、高圧水素用複合容器を搭載した水素燃料電池ドローンについて、同協会の特定案件事前評価委員会を経て、大臣特認を取得。国土交通省航空局から飛行許可を取得し、11月18日に神奈川県茅ケ崎市に試験飛行を実施した。同試験では54分間の飛行となった。

 リチウムイオン電池などを搭載した産業用大型ドローンの飛行時間は10〜15分くらいだが、水素燃料電池では60〜80分の飛行が可能。同社で実施したテストでは最大80分の飛行に成功しており、今年度中に2時間の飛行を目指しているという。

 同社は2019年に英インテリジェント・エナジー社とドローン向け燃料電池のパートナーとなっており、今回、帝人エンジニアリングの高圧水素用複合容器を採用し、必要な安全対策を講じたことで燃料電池ドローンの開発製造販売、許認可取得サポートを一貫して対応可能となった。

 ドローンはバッテリー型、ガソリンハイブリット型、水素燃料電池型などがあり、水素燃料電池ドローンは他の二つの型と比べて温室効果ガスの排出を抑えるほか、長時間飛行や積載量の拡大が可能である。

 同社は今後、クリーン水素を利用したカーボンフリーなドローン飛行を行い、水素ガス供給に関するインフラ設備を視野に、長時間飛行が可能なドローンを提供するという。また、水素燃料電池利用に向けた国産専用ドローンの開発、提供を行うとともに、物流ドローンで実証実験を行う各社と連携して長時間飛行を目指すとしている。

水素燃料電池ドローン(左)、高圧水素用複合容器とロボデックス代表 貝應大介氏(右)

水素燃料電池ドローン 主な仕様

最大離陸重量15.5㎏
対角寸法1668mm
最大速度(無風状態)65㎞/h
最大伝送距離3.5㎞
燃料電池出力2400W
水素容量4.7L
水素充填最大圧力19-28MPa
最大飛行時間60-80分