2021年12月1日、アトラックラボは、天洋丸、長崎大学大学院 水産・環境科学総合研究科 松下吉樹教授、長崎県総合水産試験場 高木信夫博士、ライトハウスと共同で「漁火(いさりび)ロボ」を開発したことを発表した。

 同ロボットは、電動スラスターと200WのLED水中灯を備えた水上ドローンで、網をまき始めてから閉じ終わるまでの間、網の中で光を発して魚が逃げないようする。灯船の作業をロボットが担うことで、作業負担を大幅に軽減した。

 アジ、サバ、イワシなどを漁獲するまき網漁業は、異なる役割を持つ多数の船を使って操業する。長崎県橘湾海域でカタクチイワシを漁獲する天洋丸船団の場合、3隻の灯船、2隻の運搬船、1隻の網船、1隻の作業船、合計7隻の船に約30人が乗り込み夜間に操業する。

 灯船は魚を探して集める役目を担い、集魚灯を使って魚を集める。網船と作業船は大きな網でその魚群を取り囲み、逃げられなくなった魚を運搬船が取り上げて港まで運ぶ。しかし近年では人手不足や乗組員の高齢化が進み、誰かが休むと操業に支障が出ることも懸念される状況であった。

 まき網操業の中でドローンが担う役割を天洋丸と長崎大学、長崎県総合水産試験場が考え、そのための機器の製作・改良をライトハウスとアトラックラボが担当した。長崎県産業振興財団の支援のもと、産学官が協力して水産業の持続性強化を目指す技術開発となった。

 天洋丸が日頃の操業のなかで試験運用を行っており、漁業の現場での使いやすさをさらに追求して改良するとともに、耐久性の検証を進めるとしている。