秩父市生活交通・物流融合推進協議会は、2021年11月5日から26日にかけて、災害発生時・平常時における複数のモビリティを連携した配送実証を行い成功したことを、2021年11月26日発表した。

 同実証実験では、ドローン、鉄道、路線バス、自動搬送モビリティなど複数のモビリティを活用して、ヒトとモノの移動改善や最適化、効率化を図り、災害発生時や平常時の生活交通・物流の生活インフラを維持する持続性の高いモデル構築を目指す。複数のモビリティを融合した配送の実証は日本初となる(同協議会調べ、2021年11月時点)。

配送実証のイメージ

 秩父市は山間地域が多く、住民の高齢化により災害発生時や日常生活において生活交通・物流等の生活インフラの維持が困難になっている。2014年2月の豪雪では、主要道路の通行止めにより生活インフラが寸断し、2019年10月の台風でも土砂崩れによって山間地域で孤立集落が発生するなど災害発生時の脆弱性が課題になった。また、日常生活では住民の高齢化により車の運転が難しい住民が増え、買い物ができる場所までの距離が遠く、外出の機会が減っているという。

 同協議会では、埼玉県秩父市の山間地域における少子高齢化によるヒトとモノの移動の困難さに着目した、物流・公共交通ネットワーク「秩父モデル」構築への取り組みを、2020年11月より開始している。

 こうした課題を解決するため、今回、実サービスを想定してドローン、鉄道、路線バス、自動搬送モビリティを実際に連携し、配送から販売までを一連で実施した。また、運行集中管理センターを設置して各モビリティの位置情報を専用端末等の地図上でリアルタイムに把握し、配送事業者・荷主に対して到着予定時刻や配送開始指示をセンター側から自動通知した。

運行集中管理センターのイメージ
<運行集中管理センターの業務内容><秩父ダッシュボードシステム実装機能>
・モビリティの運行状況を監視
・配送注文の受付
・配送計画の作成
・配送の指示、到着の通知
・配送メッセージ自動配信
・リアルタイム位置情報の収集、表示
・モビリティの状態表示
・ジオフェンス内外判定
・住宅地図、衛星画像表示


 実証実験では、災害発生時と平常時の2つのユースケースを想定した検証を行った。
 災害発生時のシナリオでは、緊急支援物資の配送実証として、緊急時に不足している物資をバス・ドローン・自動搬送モビリティを連携させた配送を実施。秩父ダッシュボードシステムによる複数のモビリティの支援を検証した。(実施日:2021年11月25日)

 平常時のシナリオでは、新鮮な野菜の配送・販売実証として、買い物弱者を支援する物資配送の仕組みの構築を目指し、市街地などで販売する新鮮な野菜を地域住民が地元で購入できるような貨客混載による配送の有用性を検証した。(実施日:2021年11月5日、12日、19日、26日)

 今後協議会は、同実証実験の検証により技術面・実運用の課題を明らかにしながら、秩父市の新たな配送手段としての活用の可能性を検討するとしている。2024年には社会実装を実現し、秩父市から全国への横展開を目指す方針である。

<各者の役割>