Volocopterは、2021年10月12日、「ITS World Congress 2021」(10月11日〜15日)において、同社の電動重量物運搬ドローン「VoloDrone」の公開飛行を実施した。

飛行するVoloDrone(Volocopterリリースより)

 Volocopterは、2020年末より同社の戦略的投資家となった大手国際物流企業のDB Schenkerとともに、ハンブルクのhomePORTにおいて、エンドツーエンドの貨物輸送デモンストレーションを行った。VoloDroneの着陸装置の間に荷物ボックスを装備して、3分間に渡りテスト飛行を実施。最大高度は22mに達した。

VoloDroneのボックスにユーロパレットサイズの荷物を固定するデモンストレーションチーム(Volocopterリリースより)

 デモンストレーションチームがユーロパレットサイズの荷物をVoloDroneのボックスに固定した後、機体はスムーズに離陸。その後ドローンは無事着陸し、DB SchenkerのCargo Bikeに荷物を届けることができた。Cargo Bikeはその荷物を地域の駐機デッキの最終目的地まで運び、完全に電動でマルチモーダル(多様)なラストマイル配送を完了した。

VoloDrone first public flight with logistics integration with DB Schenker(Volocopter)

 ハンブルクでのデモンストレーションは、両社が今年7月にシュツットガルトで行った静的概念実証(PoC)に基づくものである。これにより、世界の流通施設でのVoloDroneのオペレーション実行方法の計画を策定した。

 VoloDroneは、無人の完全電動ユーティリティードローンで、6つの国際標準化機構(ISO)パレットサイズ、最大200kgの重量を運搬し、40km以上飛行できるよう設計されている。機体の直径は9.15m、高さ2.15m、最大離陸重量は600kg。2019年の初飛行以来、VoloDroneは定期的な飛行テストをドイツのさまざまな飛行場で実施してきた。今後のオペレーションは自律的な目視見通し外(BVLOS)能力を備えるという。

 これに加えVolocopterは、物理(VoloPorts)およびデジタル(VoloIQ)のインフラストラクチャーを編成し、今後2、3年以内に開始予定のこれらのサービスをサポートするとしている。VoloIQは、オペレーションのデジタルバックボーンとして機能する。

関係者コメント

Volocopter Florian Reuter最高経営責任者(CEO)

 VoloDroneの初公開飛行は、UAM(アーバンエアモビリティー)業界におけるVolocopterの指導的な地位を強力に示すものである。当社は、乗客と商品向けのソリューションを提供する唯一のUAM企業であり、それは世界中を全面的かつ公然と飛行している。当社のVoloDroneは既存の流通プロセスをさらに強力、効率的、持続可能なものにする。DB Schenkerは、VoloDroneの流通利用の巨大な潜在力を開拓している当社の取り組みにとって貴重なパートナーである。

DB Schenker Erik Wirsing副社長(グローバルイノベーション担当)

 この日のVoloDroneの飛行によって、われわれはコラボレーションの成功と、よりクリーンな流通に関するDB Schenkerのイノベーションとサステイナビリティーのロードマップにおける素晴らしい進展を公に示すことができた。Volocopterは、世界のサプライチェーンを再考し、排出を削減しながら顧客のために物流を次の展開に引き上げるDB Schenkerの野心の理想的なパートナーであることをあらためて証明した。