2021年8月30日、白鶴酒造の農業法人である白鶴ファームは、今年度の酒米生産において、ICTを活用したスマート農業の実証実験を行うと発表した。

 白鶴ファームでは、白鶴酒造からの出向社員と、その関連会社である櫻酒造で冬場は酒造りをしている季節従業員が農業に従事し、丹波篠山に点在する農地(33ha)で白鶴錦や五百万石などの酒米を生産している。今回、そのうちの15ha(白鶴錦11ha、五百万石4ha)で実証実験を行い、酒米の生産において新たな技術を活用して農作業の効率化、省力化、高品質酒米の収量増を目指すとしている。

白鶴錦圃場での農業用ドローン活用の様子
白鶴ファームでの水温・水位データ調査

実証実験の内容

① 農業用ドローンの活用

 ドローンを活用することで効率的な農薬散布が可能となり、一回の散布で病虫害の発生を抑制することができる。これにより、刈取り前の追加散布などが不要となり、残留農薬の不安も解消される。

 酒米の出穂前に いもち病の防除とカメムシなどの害虫予防のためドローンで薬剤散布を実施する。従来に比べ、所要時間を約1/3に短縮することが可能になる。これまでは薬剤を入れた動力散布機(総重量約30kg)を炎天下に人が背負い、畦(あぜ)を歩きながら撒いていたことから、人的負担も大幅に軽減される。また、ドローンではこれまでの粒剤に代わり液剤を使用するため、圃場に水を張らずに散布できる。稲の約30㎝上から圃場全体に均一に散布するため、効果にムラが発生しない。作業の効率化により、今後は酒米の品質に関わる作業をさらに充実させていく。

 取り組みの一環として、8月24日に、自社開発酒米 白鶴錦の圃場に農業用ドローンによる農薬散布を実施した。

② 圃場水温・水位データ取得

 圃場にセンサーを設置し、水温・水位のデータを自動取得する。収穫後は、データと品質や収量との相関関係を調査する。