2021年6月1日、エアロネクストは、セイノーホールディングス(以下セイノーHD)、⾃律制御システム研究所(以下ACSL)と、セイノーHDをアンカーLPとするSector-Focused Fund(特定の投資領域に特化したファンド)であるLogistics Innovation Fund投資事業有限責任組合とACSLのコーポレートベンチャーキャピタルであるACSL1号有限責任事業組合を通じた資金調達による資本提携と、ドローンを活用した物流サービスに関して業務提携を締結したと発表した。

 今後3社は、ドローン物流市場の立ち上げに必要な経済合理性の検証、リーズナブルな価格の機体提供や機体の安定供給体制の構築、これによるドローン物流市場の創出に関する協業を開始する。

物流専用ドローンの最新試作機

 エアロネクストは特に物流分野に力を入れており、機体の信頼性を高め、社会実装に不可欠な安心・安全を確保できる独自のテクノロジーを活用した空の社会インフラ構築を目指している。2021年1月に、ドローン配送サービスを主事業とする戦略子会社「NEXT DELIVERY」を設立。同月、セイノーHDと、新スマート物流の事業化に関する業務提携契約の締結を発表した。現在は山梨県小菅村において、既存物流にドローン配送を組み込んだ新スマート物流「SkyHub」の開発とサービスモデルの実証・実装による、既存の物流課題の解決と新スマート物流の推進に共同で取り組んでいる。

 機体開発では、機体重心を最適化することでモーターの回転数を均一化し、安定性・効率性・機動性といったドローンの基本性能を向上させる独自の機体構造設計技術「4D GRAVITY」をコアに、物流専用機体の研究開発に注力している。ACSLとは、2020年8月に4D GRAVITY搭載の産業用ドローンの共同開発契約と、開発機体の製造・販売に関する4D GRAVITY特許群のライセンス契約の締結を発表。2022年度の「空の産業革命レベル4(有人地帯での補助者なし目視外飛行)」を見据え共同開発を進めてきた成果として、2021年3月、物流用ドローンの最新試作機を発表した。

物流専用ドローンの最新試作機(側面)

 3社は、エアロネクストの独自技術と知的財産を土台にした機体を含む包括的なドローン配送サービスの開発力、セイノーHDの幹線ならびにラストワンマイルの物流における実績とネットワーク、ACSLの補助者なし目視外飛行(レベル3)の豊富な経験とセキュアなドローンの社会実装の実績を持ち寄り、ドローン物流市場の立ち上げに必要な経済合理性の検証、リーズナブルな価格の機体の提供および機体の安定供給体制の構築と、これによるドローン物流市場の創出に向けて協業を行うとしている。