2021年7月16日、パスコは、アミューズワンセルフが開発したドローン搭載型グリーンレーザースキャナ「TDOT 3 GREEN (ティードット3グリーン)」の実用化検証を完了し、8月より本格的な販売を開始すると発表した。
 また、ドローンを活用した計測・測量作業の現場支援アプリケーション「SmartSOKURYO LiDAR(スマートソクリョウ ライダー)」も同時に提供を開始する。

 近年、気候変動の影響により、記録的短時間大雨と呼ばれる豪雨が頻発し、河川氾濫による被害が多く発生している。豪雨災害の対策としては、堤防や河床を面的かつ詳細にとらえた3次元地形の把握が必要となる。
 また、国土交通省ではインフラ分野におけるデジタル・トランスフォーメーション(DX)を推進しており、河川分野においてもBIM/CIMや3次元河川管内図の活用ニーズが高まっている。
 TDOT 3 GREENはドローンに搭載したレーザー計測システムにより、地上と水底をシームレス、高精度に3次元計測できるため、河川の調査や点検・管理の効率化を支援することが可能だ。

TDOT 3 GREEN

 TDOT 3 GREENは、スキャナ本体の重量が2.7kgと小型軽量、かつ高性能を両立したドローン搭載型グリーンレーザースキャナである。2019年4月に初期バージョンを発売し、今回、機能改良を加えた新バージョンの販売を開始する。

特長

1. 従来の測深性能を10%程度向上。少雨に対する機器の保護対策を強化することで、急な降雨時にも安定的に計測作業を終了させることが可能。

2. 計測中の断面データをフライト中に確認できる。計測精度や安全性に関わる項目(①受信衛星数、②衛星クオリティ、③アライメントの状態、④スキャンモード、⑤スキャニングの状態、⑥基盤温度、⑦ドライバー温度)の確認も可能。リアルタイムに計測状況を把握することで、現場で再計測や補測の判断が可能となり、業務の効率化や工程の短縮化を図ることができる。

3. 国内で設計、開発、組み立てを行う純国産システム。専用のアプリケーションも提供しており、計測から点群作成までのプロセスをオールインワンでサポートする。

TDOT 3 GREEN 仕様

サイズW270×D230×H150mm
重量2.7㎏(本体のみ、アンテナを除く)
計測レート30,000Hz/秒
視野角90°(±45°)
ビーム拡がり角1.0mrad
エコー数1st&Last、4エコー
レーザークラス対地高度<40m:クラス1
対地高度>40m:クラス3R

SmartSOKURYO LiDAR

 ドローン測量の現場支援システム。アミューズワンセルフ社製TDOTシリーズを効率的に活用するためにパスコが開発したもので、クラウドサービスとして提供する。

特長

1. 計測計画
「UAV搭載型レーザスキャナを用いた公共測量マニュアル(案)」(以下、マニュアル)に準拠した計測計画の検討が可能。現地での急な計画変更や、ドローンレーザー測量特有のアライメント飛行にも対応している。

2. 作業チェック
初心者でも、システムに沿って作業を行うことで円滑な作業が可能。音声によるナビゲーションで、うっかりミスや手順漏れ、記録漏れなどを防止する。

3. 対空標識設置
マニュアルに準拠した対空標識設置が可能。設置位置までの誘導や現場での位置変更などにも対応し、設置数の確認を現地で行うことができる。

4. クラウド
クラウドを介して社内管理者とシステムを共有することができ、遠隔地でも進捗管理などが行える。

5. 作業レポート
フライトのログデータから飛行実績レポートの自動作成が可能。

6. 精度管理表作成
フライトログや現地の記録を自動的に反映させ、精度管理表作成に必要な入力情報をサポート。マニュアルに準拠した精度管理表作成を効率化し、測量成果の品質担保を支援する。

 現在、3次元計測技術を使った河川管理は国が管理する一級河川が中心である。しかし、一級河川と支流の合流地点で発生する災害も多く、今後は中小河川の管理にも高精細な3次元地形の把握が必要になると予想される。
 パスコは、計測技術と3次元データを活用した空間情報コンサルティングで、日常点検から河川の健全性評価、災害対策・修繕計画までを一気通貫で支援していく、としている。