2021年7月8日、NTTドコモ(以下ドコモ)は、ドローン向けに、上空におけるLTE通信を月間データ容量120GBまで利用できる料金プラン「LTE上空利用プラン」の提供を同日より開始すると発表した。料金は、月額4万9,800円(税込)。利用場所や日時、台数、高度などを事前予約するための「LTE上空利用予約」もあわせて提供する。ドコモによると、ドローンを用いて上空でモバイルネットワークを利用することができる料金プランの提供は国内初。

 同プランを利用することで、目視外での長距離飛行やリアルタイムのデータ伝送が可能となり、広範囲の農薬散布や生育監視、遠隔地への長距離物流、災害発生時における遠隔地のリアルタイム映像伝送などへの活用が期待される。

LTE通信によるドローンの活用イメージ。左から、農業、物流、災害対策。

 上空でのモバイルネットワークの利用は、地上で利用する電波への干渉を避けるため、電波法による監理のもと限定的な利用となっていたが、関係省庁や企業団体等による官民協議会が提唱する「空の産業革命」の実現に向け、上空での送信電力制御や、上空で利用する周波数帯の限定などを条件に、2020年12月に上空におけるモバイルネットワーク利用を拡大する制度が整備された。

 ドコモは、上空でのLTE通信端末の送信電力を最適化するネットワーク機能である「送信電力最適化機能」の運用を開始しているが、今回、上空で利用可能な周波数を限定する「周波数帯域制限(band制限)機能」も開発した。これらの機能を活用し、上空でのLTE通信を基地局から適切に制御することで、地上でモバイルネットワークを利用する端末への電波干渉を軽減することができる。

 なお、同料金プランやサービス内容について、2021年7月16日(金)、19日(月)にドコモが開催する5Gソリューションの展示会「docomo 5G DX MEETUP for business」への出展を予定している。

サービス概要

 月額4万9,800円(税込)で月間データ容量120GBまでのLTE通信を上空で利用できるドローン向け料金プラン。ドローン本体に同プラン対応のSIMカードを挿入、もしくはSIMカードを挿入したLTE通信端末をドローンに搭載することで、上空でLTE通信が利用できる。

 利用の際は、契約者専用の「LTE 上空利用予約サイト」で利用日時、台数、高度などの事前予約が必要。事前に予約することで、同一空域、同一時間に上空でのLTE通信の利用が集中することを防ぐことができる。

LTE上空利用プラン
月額料金49,800円(税込)
※別途ユニバーサルサービス料、電話リレーサービス料がかかる。
月間利用可能データ容量120GB
通信速度120GB/月まで:受信時最大950Mbps
120GB超過後:当月末まで送受信最大1Mbps
(使用環境、通信機器のスペックにより異なる)
※別途「1GB追加オプション」「スピードモード」あり。
通信可能エリアXi(LTE)提供エリアのみ(3G・5Gエリアは除く)
利用可能な通信
(データ通信)
国内通信のみ
利用可能な通信
(SMS、国際SMS)
ともに利用可
※SMS送信時は別途「SMS送信料金」がかかる。
定期契約なし
解約金なし

※上記のほか、契約事務手数料:3,300円、名義変更手数料:2,200円、カード発行手数料:2,200円が必要。

LTEを活用した医薬品ドローン物流実証

 また、上空でLTEを活用したドローンによる物資輸送の有用性を確認するため、中北薬品、ICソリューションズ、エアロセンスの協力のもと、災害時を想定した医薬品ドローン物流実証実験を実施し、LTEを活用して片道10kmを往復する目視外での飛行に成功した。

 昨今、自然災害で道路が損壊するなど通行が制限された場合、緊急性の高い必要物資を陸路で輸送しづらくなるため、ドローンを活用した物資輸送へのニーズが高まってきている。この実証実験では、LTE通信モジュール内蔵型の垂直水平飛行が可能な国産VTOL機「エアロボウイング AS-VT01」を活用して映像伝送および機体制御をLTE通信で行い、離陸から着陸まで自動制御で実施した。

実施場所
北海道北広島市 千歳川上空(北広島市防災センター~舞鶴橋ふれあい公園付近)

実験で活用した「エアロボウイング AS-VT01」
飛行ルート(一部)およびLTE通信による映像伝送画面