テトラ・アビエーション 中井 佑代表(左)、福島県南相馬市 門馬和夫市長(右)

 空飛ぶクルマの開発を手がけるテトラ・アビエーションと福島県南相馬市は、地域産業の活性化や地域住民の生活の質向上を目的に連携協定を締結し、7月7日に調印式を開催した。

 連携協定は新技術の開発を多方面で協力し、地域の特性やニーズに合った施策を実践することで、地域産業の活性化と地域住民の生活の質向上を図るものだ。

 連携協定では、以下の具体的な事項に取り組んでいくとしている。

1. テトラ・アビエーションが開発する空飛ぶクルマ等技術の実証等に関する事項
2. 学校等と連携したロボット関連技術の人材教育に関する事項
3. 市内企業等との連携・協力に関する事項
4. その他相互に連携協力することが必要と認められる事項

 調印式ではテトラ・アビエーションの中井代表と南相馬市の門馬市長が調印を交わし、連携協定の取り組みに向けてコメントした。

テトラ・アビエーション 中井 佑代表
「テトラ・アビエーションは “移動社会をより良くしたい” をコンセプトに空飛ぶクルマを開発している。近年、日本社会だけでなく、世界中で交通渋滞や災害対応といった多様な対応が求められており、新たな協定を結ぶことで空中の移動手段を使った社会を築いていく。新技術の開発は、今後の世代のより良い生活につながるもので、次の世代に刺激や夢を与えていきたい。また、東北大震災から10年が経過し、復興が形になってきた。今後、より発展して重要な役割を担っていく南相馬市に新技術を通じて貢献していく」

福島県南相馬市 門馬和夫市長
「テトラ・アビエーションは、2019年に福島ロボットテストフィールド(RTF)の研究室に入居し、今後は南相馬ロボット産業協議会の会員企業と部品製造の面で協力を開始する。また、原町高校の生徒を対象に空飛ぶクルマに関する講演会を開催するなど、素晴らしい企業である。南相馬市で活躍し、空飛ぶクルマの技術を南相馬市から世界へ発信することに期待している。今後も市民向けのイベント出展や講演会などを通じて、子供に夢や希望、刺激を与えてほしい。南相馬市はロボットの実証場所の募集を呼びかけ、地域全体でロボットの実証が実施できるように整備していく。市内でチャレンジする企業を応援し、ロボットの社会受容性の向上につなげていきたい」

1人乗りのeVTOL「Mk-5」を公開、7月末には予約販売受付へ!

調印式には1/10サイズのモックアップが用意され、そのデザインが初めて公開された。

 テトラ・アビエーションは連携協定の調印式で、新型の空飛ぶクルマ「Mk-5」のデザインを初めて公開した。調印式には機体のモックアップが用意され、門馬市長や関係者が関心を寄せた。

 Mk-5は1人乗りで荷重は90kg。巡航速度は160km/hにおよび、航続時間は1時間となる。中井代表は「南相馬市から郡山まで10分、いわき市まで20分、東京まで1時間で移動でき、30分で100kmの移動を目安にした」と説明した。7月末には北米で開催し、例年60万人以上が来場する航空イベント「EAA・エアベンチャー・オシュコシュ 2021」に出展し、2022年引き渡しを前提に予約販売を開始する。

 今後はMk-5の量産化を目指し、2023年に向けて開発試験を進める。テトラ・アビエーションは国内における2点間の移動サービスを検討しており、2025年のサービス提供に向けて取り組んでいると話した。