2021年5月31日、三井E&Sマシナリーとゼンリンデータコムは、ドローン自動飛行による港湾クレーン点検技術を確立したと発表した。これまで専門的な知識を持つ技術者が目視で行っていた点検の一部をドローンの自動飛行による画像撮影へと置き換えることができ、システムによる管理や画像のAI解析による定量評価を行う効率的な運用管理が可能になる。
 両社は2020年7月より港湾クレーンの点検にドローンを活用する実証実験を段階的に行っており、2021年度内の港湾クレーン点検管理システムの本格導入を目指す。

港湾クレーン ドローン自動飛行点検

港湾クレーン検査管理フローの概要

1. 港湾クレーンの3D-CADモデルを用いて、点検対象箇所に対するドローンの撮影位置やカメラアングルなどをCG画面上で事前に細かく設定。

2. 事前に設定した飛行ルートに沿って、ドローンが自動飛行および撮影を実施。精度の高い位置情報を得ることができるRTK(相対測位)補正情報を用い、センチメートル級で位置を制御することにより、操縦者の飛行スキルに依存しない安定した撮影が可能。大量の画像を短時間で効率よく取得できる。

3. 共同特許出願中の撮影画像自動振り分け機能や、両社で共同研究中のサビ定量評価アルゴリズムによるスコアリングを、港湾クレーン点検管理システムを用いてクラウドで一元管理する。

港湾クレーン点検管理システムの特徴

1. 対象クレーンの3Dモデルと撮影画像をリンクさせて表示し、点検結果がクレーンのどこの部分かを確認することが可能。

2. ドローン自動飛行により定点カメラのような同画角の画像が取得できるため、過去画像との比較が容易になり経年変化の確認が可能。

 三井E&Sマシナリーの港湾クレーンの次世代遠隔モニタリングシステム「CARMS」との連携も可能。

 両社は今後も、ドローン自動飛行による港湾クレーンの検査管理フローにおける検査精度の向上、作業の効率化、安全性などの効果をもたらすソリューションとして、港湾クレーン点検管理システムの実用化に向け取り組んでいく、としている。