2020年9月30日、三井E&Sマシナリーとゼンリンデータコムは、港湾クレーンの点検にドローンを活用する実証実験を実施したことを発表した。

実証実験の概要

実施期間 :2020年7月21日(火)〜7月22日(水)

実施場所 :三井E&Sマシナリーが点検作業を請け負っている鹿児島県志布志港(管理者:鹿児島県大隅地域振興局)の港湾クレーン2基

実施目的
港湾クレーンの点検は作業員の高所作業や、専用の点検作業車の利用といった安全面・コスト面での問題、加えて技術者不足の深刻化や作業員毎による検査精度のばらつきといった課題がある。本実証実験は、点検作業の効率化や省人化(による安全面・コスト面・技術者不足の克服・検査精度の向上)を目的としている。具体的には近年、橋梁点検等でドローン活用が進んでいることから、港湾クレーン点検の一部でドローンを活用、点検結果をシステムで管理することを視野にいれたものある。

 これまで点検員が目視で行っていた港湾クレーンの構造物点検の一部を、ドローン飛行による画像撮影および画像のAI解析で代替可能か実証を行った。また同画像のAI解析により、自動で発錆の有無を検知する点も検証項目に含めている。画像AI解析は、Automagiの「AMY InfraChecker」を使用している。

点検対象の港湾クレーン
ドローン飛行による点検の様子

 三井E&Sマシナリーの既存システムには、1)港湾クレーンの各種データをクラウドに転送し、webブラウザを用いてどこでもクレーンの状態を確認できる、2)クレーン稼働データと電気品や機械品に設置したセンサーからのデータをAIによる解析を適用し、港湾クレーンの予防保全を行う機能が実装され、同システムはクラウド上で構築されている。今後、ドローン利用による点検結果と同システムを連携させていく。ゼンリンデータコムは、ドローン飛行やドローン利用に関する技術的サポートおよびドローンを飛行させ撮影した画像のAIによる解析を担当している。両社は今後も共同で開発を進めていく予定であり、港湾クレーンの点検におけるドローン利活用の可能性を検討するという。

 将来的には、ドローン飛行で撮影した画像にAI解析を適用することで、発錆や塗膜剥離の有無を検知し、発錆箇所等の定量的な評価までを自動で判定させ、点検対象である港湾クレーンの3Dモデルと連携することにより、クレーン全体での傾向をつかめるシステム構築および港湾クレーンの構造物点検へのドローン標準利用を目指し、更なるAIによるドローン画像解析技術の高度化と既存システムとの連携を進め、保全サービス・顧客サービスの向上を目指す、としている。