2021年5月18日、テラ・ラボは、福島県南相馬市と共同提案した実証事業施策が、新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下NEDO)の公募型事業に採択され、プロジェクトを開始したと発表した。
 今後、災害対策DX社会実装に向けた取り組みとして、テラ・ラボを含む南相馬市内のドローン関連企業5社と市が連携し、災害時におけるドローンを活用した被害情報収集・共有の実証実験を展開する。

実証実験フロー

 海上や沿岸、平野、山間部など地形に応じた大規模災害を想定して、ドローン飛行時の運航管理システム運用試験を実施する。

1. 南相馬市内各地の被災状況の情報収集を行う想定で実施する試験では、まず各社が機体にNEDOの運航管理システム端末を取り付けて想定被災個所をフライトし、写真や映像を撮影する。
2. 周辺のドローンや有人機をモニターで認識しながら安全に飛行できるか確認を行う。
3. 飛行が完了した機体から収集したデータを、3次元データなどに加工して災害情報共有プラットフォームへ投入する。
4. 市の災害対策本部など関係機関と共有を行う。
5. 試験は11月末まで行い、年内にNEDOに成果を報告する。

テラ・ラボが提案する「ドローンを活用した災害対策DX」

事業概要

事業名 :「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト(DRESSプロジェクト)」に係る地域特性・拡張性を考慮した運航管理システムの実証事業(略称:地域実証事業)
事業主体 :国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
事業規模 :1996万6276円
提案者 :南相馬市、株式会社テラ・ラボ(共同提案、事業管理機関:南相馬市)
オブザーバー :福島県、福島ロボットテストフィールド、南相馬ロボット産業協議会
事業実施体制
NEDOから事業管理機関である南相馬市が本事業を受託予定
南相馬市が南相馬ドローン災害対応システム社会実証コンソーシアム(幹事企業:テラ・ラボ)に再委託を行い、事業を実施

災害対応におけるテラ・ラボと南相馬市の連携

 テラ・ラボは2019年より無人航空機の研究拠点を福島県南相馬市に置き、市と連携して災害発生時における3次元データを活用した情報共有の方策について検討を重ねている。同年10月には、台風19号の記録的な大雨により川の堤防決壊や土砂崩れなどが発生した南相馬市の要請を受けて、ドローンで被災情報を収集し災害支援を行った。土砂崩れが発生した山間部エリアでは二次災害の危険性があるため、連写静止画をもとに3次元データ化し、地形の特徴や土砂の量などを市の災害対策本部に提供した。

台風19号での南相馬市内土砂崩れ現場
土砂崩れ発生現場を3次元モデル化
南相馬市災害対策本部で説明を行うテラ・ラボ代表の松浦氏

 2021年2月の最大震度6強を観測した福島県沖地震では、南相馬市周辺の被害状況を上空から撮影し、静止画・動画データをもとに、市の災害対策本部で被害状況などを報告した。

福島県沖地震時の南相馬市周辺上空

 テラ・ラボでは2021年10月頃に、南相馬市復興工業団地に災害対策機能を備える新工場を竣工する予定である。無人航空機を核とした災害対策システムを構築し、各関係機関と連携しながら行政DXを推進する、としている。

新工場外観イメージ(左)、管制室のイメージ(右)