2021年4月22日、テラ・ラボは、南相馬市復興工業団地内に、長距離無人航空機(以下ドローン)を活用した民間の研究施設を、2021年3月下旬に着工したことを発表した。2021年10月に竣工予定で、ドローンの整備・製造やデータ解析試験を行う拠点として、2023年4月頃からの段階的な実用化・事業化を目指す。

着工の様子(俯瞰)
新工場外観完成イメージ

施設の機能
1. 危機管理対策室:大規模災害時において各関係機関と連携を図り、重要な意思決定を行う
2. 管制室:ドローンの飛行制御およびデータ解析を行う
3. 格納庫(製造工場):多種多様なドローンを揃える

 軸となる管制室は、有人機・無人機の運航情報を集約して衝突回避や飛行ルートなどをコントロールする管制システムを備え、ドローンが捉えたリアルタイム映像をいち早く3次元モデルへと再現するデータ解析を行う。3次元モデルは、連続写真から被写体の形状を捉え無数の特徴点から3次元データを作る方法と、レーザー光による記録で生成する方法の二通りがある。被害状況の細かい分析や、山間部の堆積した土砂の量や雨量を把握することができ、二次災害の危険性についても予測が可能だ。

管制室のイメージ

 ドローンを活用した情報収集は地上調査よりも迅速に対応が可能で、人が立ち入ることが難しい危険エリアにおいても安全で広範囲に調査でき、人命救助やその後の復旧作業、各組織の初動や災害対策の意思決定に役立つことが期待される。

 今後は、自治体の要請や緊急地震速報発令と同時に素早く対応できるシステムを構築するなど、DX(デジタルトランスフォーメーション)にも力を入れ、関係機関と連携しながら災害現場の第一線として貢献していくとしている。

長距離無人航空機のイメージ
長距離無人航空機滑走のイメージ

開発経緯

 テラ・ラボは、2019年2月から、福島県イノベーション・コースト構想に基づき、県が整備した福島ロボットテストフィールドにおいて、大規模災害に備えた長距離無人航空機の製造ならびに試験研究を行ってきた。東日本大震災から10年の節目となる今年、これまでの研究成果を活かし、今後も起きることが予想される自然災害発生時に、最先端技術による固定翼型 長距離 無人航空機を活用した災害対策情報支援ができるよう、自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金(製造・サービス業等立地支援事業)の活用に加えて、日本政策金融公庫、福島銀行、七十七銀行、あぶくま信用金庫、相双五城信用組合等、南相馬市が連携する金融機関の支援を経て、新工場を建設するに至った。

施設概要

所在地 :福島県南相馬市原町区萱浜 南相馬市復興工業団地内
敷地面積 :10,754.18㎡(約3,259坪)
延床面積 :1,320.00㎡(約400坪)
投資額 :2億7,700万円 ※自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金制度を活用
竣工予定 :2021年10月頃