2021年5月18日、センシンロボティクスは、コスモ石油 千葉製油所と共同でドローンによる監視システムの実装化に向けた実証実験を実施したと発表した。

 今回の取り組みでは、人による点検作業を先進技術で補完することを目的に、1)災害時点検や巡回点検実装を想定した屋外石油タンク(浮き屋根含む)の点検、2)小型ドローンによる煙突内目視点検、3)水中ドローンによる桟橋点検 を行った。

1. 災害時点検や巡回点検実装を想定した石油タンク(浮き屋根含む)の点検

 センシンロボティクスのデータ分析・ロボット制御を行う業務自動化統合プラットフォーム「SENSYN CORE」を使い、防爆エリア外でドローンの自動航行による石油タンクの状況確認を行った。
 SENSYN COREは、簡単な操作でドローンを点検対象物と適切な離隔距離を確保しながら安定的に自動飛行させることができる。専門的な知識や技術が不要なため、顧客自身でのドローン運用が可能だ。自動航行や取得したデータの一元管理、地図上に示された撮影場所にマーキングやコメントを記入できるなどの点検業務機能を搭載している。
 この点検により、監視カメラでは確認できない箇所への一次スクリーニングに有効であることが分かった。現在は顧客自身で運用できるようになっている。

石油タンク点検イメージ

2. 小型ドローンによる煙突内目視点検

 煙突底部から最上部までドローンを飛行させ、内部の塗装の剥がれ具合とひび割れの状況を撮影。撮影成果物は点検の代替になりうることが分かった。

壁面の凹凸、変状を確認
使用機体

3. 水中ドローンによる桟橋点検

 桟橋設備点検では水中ドローンを航行させ、クラゲ防止ネット、桟橋デッキ裏、桟橋海底、配管パイプの裏側を点検し、各設備の状況確認を行った。潜水士による水中目視点検や調査の代替、桟橋下の点検作業の代替として活用できることが分かった。

水中ドローンでの桟橋点検

 将来的には高機能な機器と連携して人の能力以上の検知・感知や、クラウドを活用した情報収集・履歴管理の高度化を実証し、石油タンクだけでなく設備全体の監視業務への実装を進め、高度保安を実現することを目指すとしている。

 プラント設備点検にドローンを活用することで、塔類等の高所点検の容易化や大型石油貯槽タンク等の日常点検頻度の向上による事故の未然防止、災害時の迅速な現場確認が可能となり、プラントの保安力・利便性の向上や労働災害の減少につながることが期待されている。

 センシンロボティクスは、設備点検、災害対策、警備・監視などの領域において、ドローンの操縦や撮影映像の確認を行うオペレータ(人力)不足や、その育成・確保にかかる工数といった問題を解決するため、ドローン活用業務の完全自動化を推進していく、としている。