2021年5月11日、センシンロボティクスは、エナジー・ソリューションズが実施した太陽光発電設備における無人点検システム開発に「SENSYN Drone Hub」の技術が採用されたことを発表した。

 この取り組みは、エナジー・ソリューションズが採択された「令和2年度補正予算 産業保安高度化推進事業費補助金」事業の一環で、エナジー・ソリューションズはドローン・AIの新技術を活用して開発・実証を行い、太陽光発電設備における保安力の向上、安全性の担保、現場作業の省力化、無人化という目標を達成した。

 今回採用されたSENSYN Drone Hubは、ドローン機体、自動離発着や自動充電に対応する基地(ドローンポート)、制御ソフトウェア・業務アプリケーションが一体となった、完全自動運用型のドローンシステムである。大規模な工場の警備監視や設備点検などで作業員が都度現地に行く必要がなくなり、業務を効率的に行うことができる。

 今後両社は、協業・販売体制の協議を行い、早期に事業化を目指すという。遠隔での異常検出や自然災害による被害状況確認を可能にすることで、作業者の安全を確保しながら発電所の保安力向上を図る。
 またセンシンロボティクスでは、この開発成果を自社の各種設備点検アプリに応用することで、多様な産業インフラのスマート保全を推進するとしている。

実証実験の設置状況
実証事業の概要

実証内容

 エナジー・ソリューションズのドローン&クラウド太陽光モジュール赤外線検査サービス「ドローンアイ」と、センシンロボティクスの完全自動運用型ドローンシステム「SENSYN Drone Hub」により、太陽光発電設備を無人で巡視、点検作業を行った。撮影した赤外線映像等をクラウド上でAIが解析し、発見した故障箇所を含めた点検報告書をユーザーに提供するシステムを開発、実証した。

1. 赤外線検査の飛行スケジュールを設定し、飛行条件下(風速7m/s以下、日射量300W/㎡以上)による自動飛行

2. 飛行条件を満たせない場合に、再スケジュールして自動飛行することの確認

3. 災害時の現状確認(フェンスの倒壊・土砂流入)を想定し、太陽光発電設備外周の一部に飛行経路を設定し対象ポイントをRGB撮影

4. 撮影データ・気象データをクラウドにアップロードし、ドローンアイ解析ツールAI自動解析から報告書を作成

成果

・日常点検・定期検査等の保安業務の安全性担保
 太陽光発電設備の太陽光モジュール点検をドローンが行うことで、遠隔から無人で点検ができるようになり、現場保守管理人員やドローンパイロットがいなくても対応可能となった。

・安全性の確保
 災害時に無人ドローンによる撮影を行い、遠隔からリアルタイムで災害状況を把握。ドローンから転送された映像により報告書を作成することができるため、現場作業の安全性を確保可能。

・現場作業の省力化・遠隔化
 ドローンアイ解析ツールAI自動解析のバージョンアップにより正解率が93.6%に向上。これまで手動で解析を行った場合の1/3の時間で対応が可能となった。異常個所を迅速に把握して対処方法を事前に準備しピンポイントで対応することで、現場作業を40%時間短縮することができた。