ブルーイノベーションと北海道当別町は、2020年11月12日、ドローンを使用し生産農家から町内の道の駅「北欧の風 道の駅とうべつ」周辺(北海道石狩郡当別町当別太774番地)まで白カボチャ、大根などの農作物を運ぶ実証実験を行った。

 実験は環境省・国土交通省の連携事業「過疎地域等における無人航空機を活用した物流実用化事業」の一環で、20kgの荷物を運べる物流用ドローンを使用し、朝の出荷を想定して生産農家2か所をたどり農作物を道の駅まで輸送した。

 当別町では農業従事者の高齢化や人手不足の問題が懸念されており、収穫物の出荷・運搬作業の効率化や輸送時間を削減するなど、農業従事者の負担軽減が求められている。今回の実験の結果を通して、今後、地元企業、農協などで構成する協議会内で課題を洗い出し、技術やコストを検討、3年後の実用化を目指す。なお、本事業は北石狩農業協同組合、経済産業省 北海道経済産業局、北海道ドローン協会が協力している。

実証実験の概要

日時 :2020年11月12日午前

場所 :北欧の風 道の駅とうべつ周辺(飛行ルート参照)北海道石狩郡当別町当別太774番地

機体 :SkyDrive社製「カーゴドローン」

実験目的
・事業化に向けたビジネスモデルの検討
・次年度以降の開発項目の洗い出し

実験内容
・朝の出荷を想定ユースケースとして20kg運搬可能なドローンを使用し、農家から別の農家を経由し道の駅へ運ぶ

今後の展開
・協議会を中心にドローン活用の利点、欠点を今回の実験もふまえて再整理し、作業時間、労働負担、費用、機体運用や管理、安全確保など多面的に検証点を洗い出し、実用化に向けて検討を進める

物流ドローンの飛行ルート

「過疎地域等における無人航空機を活用した物流実用化事業」について

 本事業は、環境省・国土交通省連携事業として補助を受けて実施するもので、社会的な課題をドローンで解決し、利便性の向上や地域内の活性化を目指している。当別町内においては、基幹産業である農業に対して地域が抱える課題を抽出し、解決策を様々な角度から検討していく。3年後にはドローンによる安全な農作物の運搬を軸とするビジネスを成立させることを目的としている。本事業を通して、当別町の抱える次の課題の解決を目指す。

1. 運搬にかかる人件費や時間の削減
・農家から集荷場所までの往復に必要な人員の人件費の削減。
・複数の農家から集荷場所に同時期に集中する事による駐車場渋滞、受入時混雑による時間ロスの解消。

2. 農作物運搬の代替による農業従事者の負担軽減
・農作物を運搬車に積み込む(積み下ろす)作業にかかる身体的負担の解消。

3. 高齢農業従事者に発生する問題の解決
・高齢化に伴い運転を控えたい(免許を返納したい)にもかかわらず、運搬手段がなくなることから運転せざるを得ない状況の解決。
・運転が危険なために、農家を続けられる元気があるのに辞めざるを得ない状況の解決。

4. コロナ禍におけるソーシャルディスタンスへの貢献
・コロナ禍における集荷所などでの農作物受け渡し時に、人と接触しないオペレーション。

5. 運搬にかかる輸送時排出CO2の削減
・運搬車がドローンに代わる事で集荷時に排出されるCO2を削減。