2019年7月3日、テラドローンは、オランダのドローン点検サービスを提供するRoNik Inspectioneering B.V.(オランダ、以下RoNik)への出資を完了させ、同社はTerra Inspectioneeringに社名を変更したことを発表した。

タンクの板厚検査を行うドローン(検査工程についての動画はこちら:https://vimeo.com/290357142

 今回テラドローンと現地法人を設立したRoNikは、板厚検査を含むオイル&ガス系貯蔵タンクの点検・メンテナンスを中心としたサービスを長年提供してきており、欧州の大手オイル&ガス会社を中心に200件以上の実績がある。さらにドローンだけでなく、地上や水上用検査ロボットを使用し、幅広い顧客のニーズに応えてきた。今年4月には、オランダのアムステルダムで行われたコンテストThe Drone Hero Europe 2019で、欧州でトップのドローン企業に選ばれた。

 RoNikのドローンをタンク点検に活用することで、従来、高所での作業に必要とされていた仮設足場の組み立てや撤去にかかる時間を削減、更には検査期間が40〜60%短縮されることから、人件費の削減、検査中の施設稼働停止による損失の削減が実現できる。

 使用する機体の重量は、安全飛行のために約2.5 kg。オランダの特許を取得した、接触触媒(カプラント)ディスペンサーが搭載されており、飛行中でも探触子にカプラントの供給が可能であるため、効率的に検査を進めることができる。また、3つの高精度カメラが搭載されており、飛行中のドローンからの映像、またUTグラフを地上から即時的に確認することができる。成果物として、API-653やEEMUA 159などの規格に準拠した点検レポートや、クラウドサービスを通した3Dモデル点検データの提供も行っている。

今後の展望

 現在、国内外のオイル&ガス業界では、プラント稼働率の向上などを目的とし、デジタル技術の活用が急速に進んでいる。テラドローンは、同社の25カ国以上のグローバルネットワークを通じ、RoNikの持つ非破壊検査技術を含むUAVデジタルソリューションを、世界的に提供していく、との考えを示した。今後もテラドローンは、オイル&ガス事業の強化をするとともに、世界のUAV最新技術をグローバルに展開していく、としている。

地上のモニタにて確認できるUTグラフ
EEMUA159に準拠した点検手法