自律制御システム研究所(以下ACSL)は、同社が開発した国産ドローン「ACSL-PF2」を用いて、風力発電機のブレードを自律飛行点検する実証実験を実施。ドローンの自律飛行による画像撮影により、従来の望遠レンズ搭載カメラによる地上からの撮影に比べて、大幅に時間を短縮することが可能であるという結果が得られたため、ACSL-PF2 風力発電機点検仕様の提供を開始することを、2020年11月12日発表した。

国産の産業用ドローンACSL-PF2

ACSL-PF2 風力発電機点検仕様の特徴

1. 風力発電機の詳細サイズ、位置情報を入力するだけで自動的に飛行ルートを算出することができるため、風力発電機のタワーやブレードに沿うように飛行することが可能

2. 高解像度カメラを搭載することで精細な空撮や点検を実現でき、風力発電機のブレードのレセプタやエッジ部分の詳細画像を取得することが可能

3. アームとボディの一体成型により強度だけではなく防塵・防水性能が向上

実証実験 概要

 風力発電機は、安全に運用していくために損傷部分の確認等の定期的な点検が必要とされている。特にブレード部分は高所に位置するため、地上から望遠レンズ搭載カメラによって撮影を行うが、ブレードすべての撮影を行うには風力発電機を一旦停止し、ブレードの角度を変えながら撮影する必要がある。そのため、1基撮影するのに2~3時間程度の時間を要することが課題であった。本課題の解決のため、ドローンによる風力発電機のブレード点検の実証実験を実施した。

日程 :2020年10月14日(水)~15日(木)
内容 :ACSL-PF2の自律飛行による風力発電機のブレードにおける画像撮影

風力発電機

実証実験 結果

 1回の自律飛行で、風車全体(全面、背面)を撮影し、1つのブレードに対して4方向から撮影することができた。
 安全のためドローンをブレードから約10m離した位置より撮影したが、6,100万画素のカメラを用いることで、望遠レンズ搭載カメラと同程度の精度で点検画像を撮影することができた。
 風力発電機1基の点検画像を撮影するのに、従来の地上から望遠レンズ搭載カメラで撮影する点検では1時間かかっていたものが、ドローンの自律飛行での撮影では約7分で実施可能であるという結果が得られた。

風力発電機の周りを自律飛行で撮影するドローンの様子
ドローンが撮影した風力発電機のブレードの先端

今後の展開

 ACSLは、今後もドローンによる風力発電機の点検の実用化に向けた検討を進めていくことで、点検用の画像撮影にかかる時間を大幅に短縮させ、点検作業全体の効率化が可能となるドローンの開発を推進していく、としている。