2020年11月4日、自律制御システム研究所(以下 ACSL)は、日本宇宙フォーラム(JSF)が経済産業省の委託を受けて募集した「令和2年度 政府衛星データのオープン&フリー化及びデータ利用環境整備・データ利用促進事業(オープン&フリー衛星データ実証事業)」に採択されたことを発表した。

 本事業採択により、ACSLは準天頂衛星システムみちびきのサブメータ級測位補強サービス(以下 SLAS)を用いて、災害・インフラ点検・警備・農業分野でどれだけ高度な輸送が可能になるか検証するとしている。

 現在採用されている産業用ドローンの多くは、全地球測位システム(Global Navigation Satellite System、以下 GNSS)からの信号を受信することで位置情報を把握するが、一般的に誤差が生じることが知られており、正確な位置情報を把握できない場合がある。そのため、災害での物資救援など正確な位置情報を把握する必要がある場面では、安全に離着陸できない等の問題により、本来到着したい場所までドローンを飛行させることができないという課題が発生する。

 本事業で検証するSLASは、準天頂衛星システムみちびきから補強情報を配信することにより、GNSSの測位誤差を小さくすることで、より正確な位置情報を把握することを可能とする。ACSLは、SLAS測位が可能なドローンを開発し、災害・インフラ点検・警備・農業分野でより正確な輸送が可能になるか検証を実施する。また、それぞれの分野における活用現場を想定し、それらの地形(平野部、山間部、河川など)でGPSとSLASの測位精度を測定し、現場ごとにどのようなミッションを実現できるようになるかを比較することで、ドローン活用におけるSLASの有効性を検証する。

 ACSLは本検証を通して、将来的に同社の産業用ドローンへのSLAS測位の搭載を検討していく、としている。

実証事業イメージ


日本宇宙フォーラム:令和2年度 政府衛星データのオープン&フリー化及びデータ利用環境整備・データ利用促進事業(オープン&フリー衛星データ実証事業)
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